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私もあなたも実は「UXデザイナー」ではない!

ここ数年UX(ユーザーエクスペリエンス)というキーワードが注目されるようになり、UXデザイナーも増えてきています。UXという単語だけでなく本質的にどんな仕事をする人なのか事例をもとに紹介しています。ぜひご覧ください。

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本稿は、Webdesigner Depotブログ記事を、了解を得て日本語翻訳し掲載した記事になります。本記事はBen Moss氏によって投稿されました。

この数年でUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉が注目されるようになり「UXデザイナー」が登場しました。

数ヵ月おきに、誰かが1組の画像について、次のようなツイートを投稿したとします。「画像の1つはUIというビスケットになり、もう1つの画像はそのビスケットを食べるUXという勝ち誇った顔になるだろう。」

数週間後、「UIの正しい定義は、ビスケットを浸すためのお茶のマグカップ(mug of tea)である。」という心のこもった反論が投稿されるわけです。

この比喩は本質をよく理解しているといえます。というのも、まだ定義されていない段階から、「UXデザイン」は広い意味を持つ言葉として使われ始めたからです。

 

UXはデザイン不可能

例えばジェットコースターの設計者は、体験をデザインしているといえるかもしれません。ジェットコースターの体験は、重力、バランス、音、空気圧の激しい変化を伴う非常にスリリングなものです。

ジェットコースターの体験がデザイン可能であるといえるのは、これらの変化が制限されているからです。しかしそれでも、待ち行列の長さ、天候、隣に座ることになる子供が搭乗前に飲むストロベリーシェイクの量などまではコントロール不可能です。

 

また、映画監督もUXデザイナーの例といえるかもしれません。映画館で映画を観るとき、私たちは線形のストーリー形式(Linear narrative:映画や小説などで、物語が時間軸に添って展開される形式)に惹き込まれます。誰かの携帯電話が鳴って邪魔が入らない限り、上映中の約2時間余りにわたり、観客の全員が同一の感情の起伏を体験するはずです。

 

UI(ユーザーインターフェース)とUXを対比した最初の比喩は、「自転車」です。UIが自転車そのもの、フレーム、ハンドル、タイヤなどであるとしたら、UXは丘を自転車で自由に走る体験になります。

しかし、ツール・ド・フランス(Le Tour de France:毎年フランス周辺で開催される自転車のプロロードレース)の経路を設計したり、都市計画責任者として自転車道を設計することでもない限り、自転車に乗る体験をデザインすることはできません。交通、地理、他の道路利用者をコントロールすることもできません。

つまり、起こり得る様々な状況を想定してUI(自転車)をデザインすることは可能だが、UX(自転車に乗る体験)はユーザーに委ねられたものであり、デザイン不可能なのです。

 

UXは決して1つではない

UXは目には見えませんが、幻想ではなくWebサイトやアプリで役割を果たしています。誤解されているのは、絶対的に正しい唯一のUXデザインができると信じられていることです。

一方、UXのためのデザインなら可能です。わかりやすく機能的なUIを設計したり、ユーザーに共感されるようなコンテンツを作成することはできるはずです。

 

UXのためのフレームワークを作ることは可能でも、UXそのものはデザインできない。

人間の感覚は5つ(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)あると、私たちは学校で教えられています。しかし、年を取るにつれて、感覚の定義はもっと多様だと知ることになるでしょう。例えば、空腹の感覚、バランス感覚、温度を感じる感覚などは、5つの伝統的感覚とは異なります。

紙媒体のデザインは、最大で3つの伝統的感覚:視覚、触覚、嗅覚と関連しています。一方、Webサイトのデザインが関わるのは、最大で2つの感覚:視覚、聴覚です。

私のWebサイトを訪れたユーザーがどの曲を再生するか、彼らがどこからアクセスして来て次にどこに向かうのか、私は知りようがりません。また、ユーザーのWebでの体験の継続時間や、集中の度合いもコントロールできないでしょう。

UXは極めて個人的な体験であり、個々のユーザーによって異なるだけではなく、同一のユーザーでも、文脈が変わる度に1つ1つ異なる体験となります。

 

レスポンシブデザインでは、表示サイズの違いに焦点が当てられることが多いですが、実際にはもっと多くの事柄と関係しています。接続速度、画面の解像度、明るさのレベルなど環境による要因について、全てデザイナーのみではコントロール不可能です。

レスポンシブデザインの基本原則は、これらの変化を制約としてではなく、情報媒体が持つ本質として受け入れることです。

レスポンシブWebデザインの延長上には、レスポンシブUXがあります。UXそのものをデザインしない代わりに、UXのためのフレームワークをデザインするという概念であり、デザイナーは、ユーザー個人の体験を発展させるためのツールを構築できるようになるでしょう。

 

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UX vs. 人間工学

タイポグラフィは、読みやすさの科学、つまり情報を吸収する行為と深く関わる。読書体験のUXには、タイポグラフィ以上の要素がある。本の重量、紙の質感、表紙の匂いなど、本を利用するときの全ての要素が含まれます。

本に印刷する文字の大きさは、2pt(ポイント)では小さすぎるし、200ptでは大きすぎます。人間のためにデザインをし、人間の視点から設計を始めることを、人間工学と言います。

人間工学はデザインの過程であり、人間の行動まではデザインできません。対して、UXはそのデザインの過程の先にある結果なのです。

 

「芝生立入禁止」

UXについて最も流布している例え話の1つは、「芝生が植えられたコンクリートの経路」の話です。

この話にはバリエーションがあり、ある話では門があり、経路が直角に進む話もあります。しかし全ての話において、経路には「デザイン」という標識がついていて、誰かが芝生に立入った後に生まれた無数の泥の足跡には「UX」という標識がついています。

ビスケットの比喩と同じく、この例え話は、UIこそユーザーにとっての制限で、UXは自由と喜びを与えてくれるものだという神話を不滅のものにしています。

 

人間のためにデザインすることは、人間の行為そのものをデザインするという意味ではない。

またこの例え話は、芝生の上ではなくコンクリートの上を歩けば、足跡も何も残らないという点を都合よく無視しています。芝生の上を歩く1人に対して、そうしない人が1万人いるかもしれません。

UXについてよく語られている嘘は、唯一正しいユーザーエクスペリエンスというものが存在していて、クラウドソーシングによりデザインを決定することで、一本の正しい道が見えてくるというものです。

デザイナーは、ユーザーの利用環境をコントロールできないし、しようと試みるべきでもありません。真に成功するUXとはデザインされるものではなく、ユーザーが自分で使いこなせるフレームワークを与えられたときに、生じるものです。

 

『スター・ウォーズ』は、歴史的な大成功を収めているフランチャイズ映画(数本の続編が制作されるような大ヒット映画)の1つです。その理由は映画だけでなく、玩具によるところも大きいといえます。つまり、『スター・ウォーズ』が人々に与えているものは、線形のストーリー形式の映画に加えて、ファンが個人的なストーリーで楽しむことができる拡張的な世界なのです。

この拡張性がなければ、ジョージ・ルーカスは『スター・ファイター』(The Last Starfighter:1984年公開の米国SF映画)を制作していたかもしれません。

 

コラム

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私もあなたもUXデザイナーではない

良いデザインを設計する目的は、ユーザーとのつながりを達成することです。デザイナーはその関係をユーザーに求めることはできても、強制はできないでしょう。UXは、外部からの刺激に反応して、ユーザー側で作られる個人的な事象なのです。

デザイナーは映画監督でも、ジェットコースターの設計者でも、小説家でもありません。

デザイナーは、映画館のポップコーンを掃除したり、「発進」ボタンを押したり、文字を設定したりするのが役目なのです。

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