RelicCTO大庭亮の仕事の進め方を培った恩師の指導とは
テックアカデミーマガジンは受講者数No.1のプログラミングスクール「テックアカデミー」が運営。初心者向けにプロが解説した記事を公開中。現役エンジニアの方はこちらをご覧ください。 ※ アンケートモニター提供元:GMOリサーチ株式会社 調査期間:2021年8月12日~8月16日 調査対象:2020年8月以降にプログラミングスクールを受講した18~80歳の男女1,000名 調査手法:インターネット調査
本企画では、業界トップの現役エンジニアの”影響を受けた人”にフォーカス。
CTOはどんな時、どんな場所で、どんな人に成長を支えられたのか。エンジニアを目指している人は必見です!
※肩書き等はインタビュー当時の内容となります
目次
- 「作ってからがスタート」のオンラインサービスに魅力を感じて
- 部活動でのロボット作りで学んだ、プログラミングとプロの所作
- 前職キャリアと掛け算で、未経験でも価値あるエンジニア人材に
- 採用はチームワーク重視。技術を学ぶことを楽しむのがおすすめ
「作ってからがスタート」のオンラインサービスに魅力を感じて
――株式会社Relicについて教えてください。
株式会社Relicは、「事業を創る」ということ自体を事業にしている会社です。3つの柱でお客様の新規事業開発を支援しています。
1つ目は、プラットフォームを介した支援。アイデアを投稿したり、ブラッシュアップすることができる「Throttle」は、数多くの企業様にご利用いただいています。また、クラウドファンディングサービス「ENjiNE」を使えば、本格展開前の事業検証が可能。こちらもメディアやメーカー、小売等の幅広い業界の企業様に導入いただいています。
2つ目は事業プロデュース・ソリューション。お客様に寄り添い、一緒に事業をつくり上げていくイメージです。新規事業は不確実性が高いので、いろいろな企業に業務を委託していると調整するのが大変になってきます。当社はそこを一気通貫で支援できるところが強みといえるでしょう。
3つ目はオープンイノベーションやジョイントベンチャー。スタートアップや大企業と連携しながら事業を創り上げる取り組みです。
――大庭さんはどんな役割を担っていますか。
会社の中のポジションはCTOです。ほぼ創業メンバーとして参画しているので、CTOといっても1エンジニアとしてコードを書いてプロダクトを作るところから始まりました。今は主に、1つ目と2つ目の事業に携わっていて、開発のメンバーをマネジメントする役割がほとんどですね。また、採用にも携わっています。
――大庭さんの、これまでの経歴についてお聞かせください。
大学では、筋ジストロフィーの方をサポートするロボットを作っていました。そのロボットは食事を扱うロボットハンドが取り付けられているのですが、コンピュータが実世界に作用する接点として、すごく興味深いと思いました。そこをもう少し深く研究したくて、奈良先端科学技術大学院大学の進み、情報科学を専攻しました。半年後からは産業技術総合研究所で大学院生活を送っていました。
――大学院終了後はDeNAに就職されていますが、どのように考えて決めたのですか。
最初は自動車業界や電機業界を考えていたのですが、「自分で裁量を持ってプロジェクトを動かせるまでの道のりが長そうだ」と感じていました。一方、Web業界は少数精鋭で若手でも裁量を持ちながらプロダクト開発に携わることができそうだと思ったのです。
もう一つこんな理由もあります。私は自分でオンラインゲームのサーバを立てたことがあって、多いときは同時に80人ぐらいが集まって遊んでくれました。その中で新しいコミュニティやカルチャーができていく、ワクワクするような体験をしたんです。「オンラインサービスは面白い」と思い始めるきっかけとなりました。
DeNAではEC事業部に配属され、新規事業を手掛けるなど2年半在籍して、その後Relicの創業に携わることになります。
部活動でのロボット作りで学んだ、プログラミングとプロの所作
――プログラミングを始めたきっかけを教えてください。
実は中学生の時に、工業高校が主催しているロボットコンテストがあったんです。ロボットといってもおもちゃみたいなものでしたが、それで興味を持ち始め、その工業高校の機械科に入学してロボットの部活に入りました。「知的制御研究部」という名前の、体育会系のような部活でしたね。
その部活で大会に出る相撲ロボットを作るために、C言語を書いたのが、最初のプログラミングといえるでしょう。センサーの値を読み取って方向を決めるという単純なものでしたが、なかなかうまく動いてくれませんでした。当時はインターネット上におけるプログラミング関連の情報が今ほど豊富ではなかったので、ロボットの雑誌を読みあさったり、いろいろな人に聞いたりして、2週間ぐらいしてようやく思い通りに動いたときには、めちゃくちゃ嬉しかったのを覚えています。
――わからないときは、誰に質問していましたか。
先輩や先生は、聞けば教えてくれましたが、調べないまま聞いてしまうとその人の時間を奪ってしまいます。自分の場合はまず調べて、わからなかったら聞くようにしていました。でも、わからないことがわからない状態のときもありますよね。そういったときは聞いたほうが絶対早いです。あとは、誰が何を知っているか、をおさえておくことも大切ですね。
――ご自身のプロのエンジニアとしてのキャリアを築く上で影響を受けた人はいますか。
高校の時の顧問の先生の影響は大きいですね。その方は一度民間企業を経験していたのもあって、部活についても会社のような運用の仕方をしていました。出欠をとったり部員ごとの活動時間を記録したり、予算についてもなぜ必要なのか、どのような効果が見込めるかを稟議書を書いて説明して、先生が承認したら買えるのです。ロボットもただ作って競技して終わりではなく、論文を書いてプレゼン発表するところまでやる。そんな会社のような雰囲気がありました。
そのおかげで、「社会人になったらこう動くんだろうな」というのがシミュレートできた気がします。これは学びとしては大きかったですね。仕事の進め方や考え方のベースが、その時にできたのではないかと思っています。
印象的だったのが、ある事項について連絡したのにうまく伝わっていなかったとき、顧問から「伝わっていないのは言っていないのと同じ」と言われたことです。その時は「私は言ったのだから、伝わっていないのは聞き手が悪いのでは」と思いましたが、それが頭の片隅に残っていて、社会人になってからだんだんとその意味がわかってきました。
――プロになってから意識が変化したということはありましたか。
カルチャーショックのようなことはなかったですね。部活動や産総研での経験もあり、「プロならこのレベルを求められる」と理解していました。だから、プロの世界のスタンダードをすぐ受け入れることができたのだと思います。
前職キャリアと掛け算で、未経験でも価値あるエンジニア人材に
――市場価値の高いエンジニア像について、どうお考えですか。
特定の技術に詳しく、それを磨き続けている人は、大きな企業の中では専任の人材として希少価値があります。また、プロダクトを作るという目的の中でバリューを出せる人も重宝されます。そういった人は、今ある技術をうまく組み合わせてプロダクトの価値に繋げることができる。大企業でも、スタートアップ、メガベンチャーでもそれなりの年収で採用されやすいでしょう。
――御社のメンバーで、他業種からエンジニアにキャリアチェンジした人はいますか。
7~8名います。割合としては20%くらいです。知り合いにエンジニアがいたとか、仕事でWordPressを触るようになったとか、どこかでプログラミングと接点があったんですね。スクールやオンライン教材で勉強して、より興味を持って入ってくる人が多いです。
今はオンラインのスクールもあって、いい時代だと思います。自分も就職するときは「何も知らずに入るのもまずい。勉強しよう」と思ったのですが、何から手をつければいいかわからない状態でした。でも今はエンジニアになるための入り口がたくさんありますからね。
――エンジニアになりたい人がプログラミングスクールを使うことに関してどう思いますか。
それ自体はよいことだと思います。学習の高速道路であり、教材も教えてくれる人も揃っている。ただ、それだけで必ずオファーを得られるという確証はありません。他業種からでもキャリアを築いていける分、競争率は高い。そこに強みとしてそれまでのキャリアや経験があると、非常にいいと思っています。
弊社にも非技術職から中途入社したエンジニアが複数名いますが、とてもしっかりしています。社会人としての所作も技術もできるという意味では、とても価値が高い人材です。前職の経験を掛け算できると、バリューが出しやすいと思いますよ。
採用はチームワーク重視。技術を学ぶことを楽しむのがおすすめ
――どんなエンジニアと一緒に働きたいですか。
「チームワークや組織を重視できる人」がいいですね。昔は「コンピュータサイエンスの基礎がわかる人」とか「ギークな人」とか言っていましたが、そうすると似たような人ばかり集まってしまう。それは組織として、もろい状態です。
やはり多様性があったほうが強いし、何かあったときにいろいろなアイデアが出てきたほうがいい。今はコンピュータサイエンスのことが多少わかっていなくても、他のことが得意なら受け入れていこうという考え方に変わってきました。知識があるかどうかは、後付で対処できる問題です。やはりその人の人間性やチームとして動けるかどうかのほうが重要ですね。
――御社をどんな組織にしていきたいとお考えですか。
われわれは新規事業を本業としているので、当然不確実性が高いです。そんな中、不確実性への耐性を身につけたRelicなら、どんな状況でも思考停止せずに進んでいくことができます。そこは世の中の標準に比べると、かなりユニークなマインドになってきていると感じていますし、そんな集団であり続けたいと思っています。
――エンジニアを目指す人たちへのメッセージをお願いします。
今エンジニアを目指している方の中には、「将来のために」と修行のように頑張っている方もいるかと思います。しかし、エンジニアの勉強は、一生続けないといけないもの。修行と割り切っても、なかなか続けられるものではありません。でも、技術を学ぶことや使うことが「楽しい」と感じられれば、苦もなく続けられます。皆さんにはぜひ楽しんで学習していただきたいですね。
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