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暗号資産取引所「bitbank」CTO野田の今に活きる「あの時憧れたプロの仕事」とは

「働き方そのものに憧れて、自分も彼のようなプロになりたいと思った」ビットバンクCTO野田の “影響を受けた人” に迫る。

テックアカデミーマガジンは受講者数No.1のプログラミングスクール「テックアカデミー」が運営。初心者向けにプロが解説した記事を公開中。現役エンジニアの方はこちらをご覧ください。 ※ アンケートモニター提供元:GMOリサーチ株式会社 調査期間:2021年8月12日~8月16日  調査対象:2020年8月以降にプログラミングスクールを受講した18~80歳の男女1,000名  調査手法:インターネット調査

本企画では、業界トップの現役エンジニアの “影響を受けた人” にフォーカス。

CTOはどんな時、どんな場所で、どんな人に成長を支えられたのか。エンジニアを目指している人は必見です!

※肩書き等はインタビュー当時の内容となります

目次

 

預り資産3,000億円超えの暗号資産取引所「bitbank」

――最初に、ビットバンクの事業内容についてお伺いします。

ビットコインやイーサリアムを始めとした暗号資産(仮想通貨)の取引所サービス「bitbank」の運営が主な事業です。また暗号資産のマーケット情報を発信するメディア「bitbank MARKETS」の運営も行っています。

 

――ビットバンクのサービスの強みを教えてください。

前提として、金融機関のサービスは非常に高い可用性(どのようなときでも問題なく利用できること)と高いセキュリティが求められます。

まず、1点目の可用性についてですが、特に暗号資産は価格が乱高下するため、個人投資家の注目を集めやすいという特徴があります。突発的な価格変動でサービスにアクセスが集中することが多く、暗号資産取引所のWebサービスにアクセスできないといった事象がよく起こります。しかし、どんなに乱高下する相場であっても「bitbank」が落ちてしまうような事象はここ数年で1度も起きていません。必要なときにすぐ自らの資産をコントロールできるという観点において、サービスの安定性は非常に重要であり、弊社の強みの1つだと考えています。

2点目のセキュリティについてですが、暗号資産の管理には特徴があります。一般的な金融機関は銀行送金を前提としたお金の管理システムであるのに対し、暗号資産はブロックチェーンで構成されているため、暗号資産の流出リスクは常にあります。実際に暗号資産取引所から暗号資産が流出したという事件をニュースで見かけることもありますが、ビットバンクは設立当初より、暗号資産管理システムとオペレーションに常に拘ってきましたので、これまでに流出事故は一度も起きておりません。お客様がご自身の資産を安全に保管してくれる取引所を選ぶ際に、弊社の高いセキュリティは強力なアピールポイントになっています。

また、サービスの使いやすさも重視しています。弊社は開発を自社エンジニアだけで行うので、新たな技術を取り入れやすい上、サービスの使いやすさに拘って作り込むことができます。先に述べた高い可用性や高いセキュリティに加え、内製だからこそ実現可能なサービスの使いやすさも相まって、現在ではお客様からの預り資産が3,000億円相当を超え、また現物取引高においては国内No.1となる33.7%のシェアを獲得することができました。

 

――野田さんはCTOとしてどのような役割を果たしているのでしょうか。

先に述べたとおり、金融機関では珍しいことですが、弊社はサービス開発を全て内製体制で行っています。私は弊社でシステム開発を受け持つシステム部門の部門長として、開発チーム体制をマネジメントする役割や、技術方針の策定、開発プロセスにおけるレビュー、サービスの要件定義などを行っています。

経営という観点では、執行役員として会社全体の事業戦略や事業計画の策定や、部門の調整なども行っています。

また、会社の外では業界の自主規制団体である日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の技術委員会の委員長を務めており、暗号資産管理のセキュリティの標準化に携わっています。暗号資産業界はまだまだ若く、進歩が速い業界でもありますので、次々と出てくる新しい論点や課題に対して業界横断での議論を行ったりしています。

 

文系出身、未経験から新卒でエンジニアに

――次に野田さんのこれまでの経歴について教えてください。

早稲田大学の法学部を卒業後、新卒でエンジニアとしてコンサルティングファームに入社しました。そこで4年働いたのち、インターネットメディア・広告事業を展開する会社へと転職。2年弱の勤務を経て、2015年にビットバンクへジョインしました。

 

――文系だった野田さんが、エンジニアを目指したきっかけを教えてください。

大学生のとき趣味程度にプログラミングをやっていたことがきっかけです。音楽好きでクラブDJをやっていたのですが、レコードバッグが非常に重くて困っており、当時はちょうどパソコンでDJをするのが流行り始めていたころでもあったので、そちらに切り替えたんですね。やってみるとソフトウェアの動きが面白くて、ソフトを作る方にのめり込んでしまったんです。それから自分でソフトを作るなどしている内に、プログラミングが趣味になっていました。ものを作るのが好きでエンジニアに向いている気がしたので、新卒の就職活動においてはエンジニアを志望しました。

入社して感じたのは、趣味のプログラミングと仕事のプログラミングは全く違うということでした。趣味では自分が楽しむためにものを作っていましたが、仕事ではお客様が望まれるものを作らなくてはなりません。そのような意味では趣味のプログラミングとは楽しみ方の質が異なりますが、大きなテーマに携わることができるという点やハードワークをこなしていく過程において、仕事そのものを楽しむことができました。プロジェクトによっては激務で辛いこともありましたが、物事が進んでいくことや自分のできることが増えていくことにやりがいを感じていました。

 

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ロールモデルとなった先輩、同僚

――エンジニアとしてのキャリアを築くなかで、影響を受けた人はいますか。

今の自分を語るうえで欠かせない存在が2名います。1人目は、新卒で最初にアサインされたプロジェクトの先輩です。彼は若くしてシニアマネージャーとなり、クライアントとの調整、要件定義、プログラミングまでなんでも自分でスピーディにこなしてしまう方でした。

誰かに遠慮することなく、自分がこうあるべきだと考えた落とし所に対して道筋を立て、それを実現すべく自らも手を動かしながら、社内のメンバーだけでなく外部やクライアントも巻き込んで作っていくような人でした。プログラミングスキルというよりも、働き方そのものに憧れて、自分も彼のようなプロになりたいと思っていました。

その先輩から学んだことは、今の働き方にも活きています。私は設立間もない段階でビットバンクにジョインしました。そのため、歴史的経緯も含めて全体を俯瞰して把握しやすい立場にあります。それを活かしながら、システムや人事面における多岐にわたる課題を解決していく過程で、会社やサービスがこの先長期的にどうあるべきかを常に考えながら提案することを心がけています。そしてその実現への道筋を仲間と一緒に考えて、実際に手を動かしています。そういった意味では、当時彼に抱いていた憧れは実際に自分自身の仕事の中に活きているのかなと思っています。

そしてもう一人が、私より先にビットバンクにジョインしていたエンジニアのYuaさんという方です。ビットバンクに入社した当初、エンジニアとしてまだ未熟だった私にとって、彼は欠かせない存在でした。

暗号資産取引所のサービス開発において、新しいオープンソース技術の採用は不可欠です。一方で、私が新卒で入った業界のシステムは成熟した技術で構成されており、新しい技術に触れる経験や技術的なチャレンジはほとんどありませんでした。また、次の職場ではエンジニアではなく、マーケターをやっていましたので、ビットバンクに入社した当初はエンジニアとしての大きな自信はありませんでした。

そんな私にとってYuaさんとのコミュニケーションは新しい技術を学ぶきっかけになりました。特にNode.jsアプリケーション、クラウドプラットフォーム、コンテナや暗号技術など、暗号資産取引所のサービス開発に必要な技術を多く学びました。

また、Yuaさんには正しく質問すれば、正しく返答がくるという安心感がありました。そんな彼とのコミュニケーションは単に技術を学ぶだけでなく、エンジニア同士の効率的なコミュニケーション方法について学ぶ機会にもなりました。

他にも多くの方の支えがありましたが、エンジニアとして自ら成長することができ、結果としてたった3-4人の開発体制で弊社の今のメインプロダクトをローンチすることができたのは、Yuaさんがいたおかげだとだと思っています。

 

まずは「なぜエンジニアになりたいのか」を言葉にするべき

――プログラミングスキルは、今後どのような人でも持っておいた方が良いスキルになると思いますか。

そうなると思います。ITのビジネス利用はメインフレームに始まり、パソコンが広まるという流れがありました。それに対応する形で、まずは機械そのものを操るスキルセットが求められ、続いてExcelやWordなどのソフトウェアが仕事に必要なスキルであるとみなされるようになってきました。すでに現代ではパソコンが操れて、Excelができないと仕事もままならない状態になっています。それと同じように、SQLが使える、プログラミングの活用で仕事を効率化する、または利用者向けのサービスを開発できるといった技術もスキルセットとして一般的になっていくと考えています。

――エンジニアになりたいと考えたとき、プログラミングスクールは役に立つと思いますか。

もしすでにエンジニアリングや技術に対する具体的な興味がある方は、必ずしもスクールに通う必要はないと思います。一方で社会人として仕事の幅を広げたいと思われる方は、スクールがマッチしていると思います。スクールは技術の深掘りを行うというよりも、会社でエンジニアリングスキルを活かして働くために通用する最低限のスキルを学ぶ場所だと考えています。

なのでスクールを選ぶ前にまずは「なぜエンジニアになりたいのか」を言語化すべきだと思います。年収を上げるため、食いっぱぐれないようにするため、なにかを作っているのが楽しい、技術に興味があるなど、なんでもいいです。

それができれば、スクールで技術を学び続けるモチベーションになります。また、言語化することにより、自らの理想像も描きやすくなります。卒業後、スクールに通っていたとはいえ面接時にはまだエンジニアとして未経験であることは変わらないので、実績でアピールをすることは難しいです。しかし、自らの理想像を描けていれば、エンジニアである自分がその会社のビジネスに、どのように貢献することができるのかを伝えることができるようにもなると思います。それは技術力と同じくらいアピールできるポイントだと思います。

――どうやって通うべきスクールを見極めたらいいでしょうか。

エンジニアが成長するためには、とにかくひたすら自分で手を動かしてものを作るしかないと思います。これは仕事においても同様で、座学で学ぶだけでは役に立つスキルにはなり得ません。なので手を動かす機会の多いスクールが良いのではないかと思います。

また、お題の目的と要件が明確で、完成した成果物に対して適切なフィードバックがもらえる環境が良いと思います。作ったものに対して「目的が達成されているか」「要件に従って作られているか」のフィードバックを受けることができ、できていないところを適切に表現してくれて、不足を満たすにはどうすれば良いのかを教えてくれると、成長が捗ると思います。

 

エンジニアになるだけではなく、エンジニアリングで何を実現させたいか

――野田さんが思う、市場価値の高いエンジニア像を教えてください。

エンジニアのスタンスには大きく2種類あると思います。まずはビジネスマンとして動けるエンジニアです。サービスを構成する技術と自社の技術スタックを最低限理解していることが前提になりますが、「それらをどのように使ってサービスを作っていくのか」というビジネス観点を意識することができる人です。この意識に加え、お客様への価値提供を目的としてコミットメントを発揮することができ、それを実現した実績を明確に言語化することができるエンジニアは市場価値が高いと思います。

10年前と比べてもプログラミングをするための環境は敷居がどんどん下がってきていることで、エンジニアリングの人材の裾野は広がり続けています。そんななか、こうしたビジネスにフォーカスしたエンジニアを単なる「エンジニア」ではなく、ビジネスマンとして位置づける時代もそう遠くないのではないでしょうか。

もう1つの種類は、技術そのものに強い興味関心を持っているエンジニアです。興味関心の対象はデータベース、アプリケーションフレームワーク、プログラミング言語そのもの、ビットコインやイーサリアムなどのオープンソープロトコルやソフトウェアなど様々です。

オープンソースの世界は自分からいくらでもキャッチアップすることができる環境です。自分の興味関心を原動力に情報をキャッチアップし、難易度の高い課題に対して、その専門性を持ってバリューを発揮できる人、さらにはOSSそのものに価値を還元することができる人は市場価値も高いと思います。

 

――では最後に、エンジニアを目指す人へメッセージをお願いします。

職を得るためだけではなく、エンジニアリングを通して「何を実現したいのか」という主体的な目標を持ってエンジニアを目指すべきだと思います。どのような会社も、決して「エンジニアを採用すること」自体が目的ではなく、あくまでビジョンやビジネスゴールを達成するためにエンジニアの採用活動を行っています。よって、まずは会社の目標を理解し、エンジニアリングを通してどのような価値を提供できるのかを相手に伝えることができるようになることが重要です。そしてエンジニアとしての仕事を通してどのような人間になりたいのかを共有することによって、会社とWin-Win関係を保ち、長くエンジニアライフを楽しむことができるようになると思います。

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