過去160年間の情報技術の歴史から見る!インターネットの変遷とは
過去160年の間で電話やラジオ、テレビそしてインターネットが生まれてきました。情報技術は日々進歩していますが、一方で新しいものに取って代わるサイクルも生まれています。インターネットの未来とは何なのか、必見の内容でしょう。
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本稿は、FreeCodeCampのブログ記事を了解を得て日本語翻訳し掲載した記事になります。
本記事は、プログラミングの指導をしているQuincy Larson氏によって投稿されました。
歴史は繰り返している
今日までインターネットは、過去160年間に他の情報技術に起こったものと同様の悲劇をたどってきています。
- 電報
- 電話
- 映画
- ラジオ
- テレビ
これらはそれぞれ、おおよそ同じ物語を持っています。
- 発明者が技術を発見する。
- 愛好家がその技術の使用方法を開拓し、一般の人に広く行き渡るようになる。
- 企業が目をつける。技術を商業化し、洗練し、規模を大きくする。
- 企業が充分に力を持つようになると、技術を守るため政府を騙し支援させる。自分達を「自然独占企業」として位置づける。
- 長い停滞のあと、その古い技術を崩壊させる新しい技術が登場する。古い独占を除去するときもあるが、独占をますます強固にするだけの場合もある。
このループは何度も繰り返されてきました。「ネットワーク中立性」という言葉を作ったハーバード大学法学部教授のティム・ウーは、これを「サイクル」と名付けました。
「歴史は、情報技術の発展の特徴を示しています。誰かの趣味から、誰かの産業へ。自由にアクセスできるチャンネルから、企業・政治集団によって厳密に制御されたものへ。オープンなシステムからクローズドなシステムへ。」――ティム・ウー
我々は今、ステップ4の部分にいます。そしてステップ5が見えてきません。
1900年代の始めに経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが述べた創造的破壊は実現していません。
インターネットは特別なように見えます。電報・電話・ラジオ・映画・テレビに取って代わる究極の情報技術であり、それを破壊する明確な方法がありません。
しかしインターネットの最高の地位をめぐる争いは終わりません。このグローバルチェス盤にはたくさんのプレイヤーがいます。政府、テレコムの独占、GoogleやFacebookのような大手インターネット会社、NGO、スタートアップ企業、ハッカー。
パート1では、オープンインターネットが何であるかを探ります。そしてそれまでの情報技術の歴史を掘り下げましょう。
パート2では、原子について説明します。インターネットの物理的なインフラ。インターネットのバックボーン。通信衛星。広帯域インターネットをもたらす銅線および光ファイバーケーブルの「ラストマイル」。
パート3では、ビットについて説明します。インターネットのオープンで分散した性質と、それがどのように多国籍企業によって壁に囲まれた庭に封鎖されるか。
パート1:オープンインターネットとは何か
オープンインターネットを表す言葉はひとつだけです:カオス
オープンインターネットは、お互いに叫び合う30億の声の不協和音です。埃だらけの広大な市場であり乱雑です。しかしそれによって我々の時代における偉大な芸術や産業をいくつか作り出しました。
オープンインターネットは誰でもコンテンツを公開できるツールであり、誰でもそれを利用することができます。
私たちはみんな「サイクル」に閉じ込められている
ここではインターネットより前の情報技術についての簡単な歴史と、企業と政府がどのようにして地位を固めたかについて説明します。
最初はある人がケーブルを繋ぎ、モールスコードのメッセージを友達に伝え始めました。電報は実用的なアプリケーションを備えた楽しいツールでした。地元の企業がその周りに現れました。
1851年、ウェスタン・ユニオンが大陸横断線を張り、それらの間に中継ぎ局を建設したときに変化が起きます。
小さな電信会社が競争に参加したい場合はウェスタン・ユニオンのネットワークにアクセスする必要がありました。間もなく彼らは完全に搾り取られてしまいました。
ウェスタン・ユニオンは非常に強力で、アメリカの大統領を単独で任命することすらできました。アメリカで育った人はこの大統領の名前を子どものときに記憶したかもしれません。
ウェスタン・ユニオンはヘイズの選挙活動を財政的に支援しただけでなく、諜報活動の情報のバックボーンとして独自の地位を利用しました。
ウェスタン・ユニオンの支配権と独占価格は、アレクサンダー・グラハム・ベルが電話を発明し電報の事業を崩壊させるまで続きます。
電話がどのように「サイクル」の犠牲になったか
JPモルガンの支援を受けた電話会社AT&Tは、アメリカ全土に長距離電話網を構築しました。
地元の電話会社の顧客が他の都市の人に電話する場合、AT&Tに支払いをする必要がありました。
アメリカの電話システムを完全にコントロールすることが、面倒で無駄な資本主義を避ける最善の方法だとテオドール・ベイルは考えました。ベイルは自分のやり方が消費者のためであると主張しました。公平を期すためだと。少なくとも短絡的にはそうでした。
ベイルはAT&Tの独占的利益を利用して、地方の電話回線の開設を助成しました。こうしてアメリカ全体がひとつの標準化されたシステムの下で統一することができました。
しかし慈悲深い独占企業の問題は、その者たちが永遠には生きていないということです。いつかは第二世代のCEOに取って代わられる。その人物は前任者のような理想に欠けている場合が多く、そこには資本家の特権しかありません。利益を上げ、配当金をまき散らし、四半期ごとの業績見通しをたたき出す。つまり顧客からより多くのお金を得るということです。
AT&Tは競合他社を圧倒しました。その独占が明らかになり、アメリカ政府はそれを規制する措置を取りました。しかしAT&Tは規制当局よりもはるかに機敏であり、国の後押しする「自然独占」となる機会に飛びつきました。
AT&Tは1982年にFCCによって解体されるまで何十年も独占的利益を得ることになります。「ベビー・ベルズ」は1977年、分割前よりもさらに大きな企業に合併しました。
AT&Tは政府支部のように機能し、大規模な研究所を持っていましたが、ひとつの主要な例外を除いて、その主要なビジネスにとって脅威となる発明を秘密にすることができました。
コンピュータの重要なデータ記憶媒体として後に使用されたボイスメールとデジタルテープは、実は1934年にAT&Tの研究所で発明されていました。しかしそれは覆い隠され、数十年後に再発明されることになります。
そのような信頼性の高い大量のデータ記憶媒体があったら、その期間内に情報技術の分野がどれくらい発達したでしょうか。
仮に企業が意図的に電子メールの導入を10年遅らせたらと考えてみてください。社会の生産性にどれぐらい影響があるでしょうか。何千億ドルの経済損失になるでしょうか。これは公共の研究室や大学でなく、民間の企業に科学的な研究開発を任せるということについての訓話です。
映画がどのように「サイクル」の犠牲になったか
映画が発明され、皆が米国の何千もの映画館であらゆる種類の映画を鑑賞しました。誰でも映画を制作し、地元の劇場で上映することができました。
アドルフ・ズーカーがパラマウント・ピクチャーズを設立し、またそこで変化が起こります。
ズーカーはブロックブッキングの慣行を開拓しました。小規模な独立した劇場が、例えば最新のメイ・ウェストの映画を上映したい場合は他の貸し映画も購入して上映する必要があります。
これにより、地元劇場所有者の流行先駆けとしての地位は失われました。そして映画劇場の商品化が進み、最終的に大ヒット映画が登場することになります。
どのようにラジオが「サイクル」の犠牲になったか
マルコーニやテスラがラジオを発明し、大規模なムーブメントが愛好家によって起こり、アマチュア番組を流す数千の地方ラジオ局が存在しました。
ラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(RCA)の責任者を務めたデビッド・サーノフ。おそらく20世紀で一番マキャベリなCEOです。
当時RCAは、ラジオ用の部品を作っていました。最初RCAはハードウェアに焦点を当て、多くのラジオ局を稼働させて家庭にも普及させることを目的としていました。しかしサーノフは、 ラジオのコンテンツにこそ本当の富があることに気付きました。サーノフはNBC放送の普及を援助し、その代わりに広告を通してお金を稼ぐようになります。
その後サーノフは連邦通信委員会(FCC)に近づき、電波スペクトルが希少な商品であるためライセンスを発行するべきだとしました。
すぐにNBC放送は全ての家庭で利用できるようになり、地元の愛好家たちによるラジオ局は存続できなくなりました。RCAはラジオ局・家庭用ラジオ部門・放送されるコンテンツと垂直統合されました。
サーノフはテレビの発明家と話していたため、すでにテレビがラジオに取って代わることを知っていました。しかしサーノフには計画がありました。自分自身によってテレビの発明を主張することです。
テレビはどのように犠牲になったか
テレビが他の技術と違う点は、「愛好家による段階」が無かったことです。サーノフとRCAは、FCCの助けを借りてすぐにテレビ技術をロックダウンしました。その結果アメリカ人はNBC・CBS・ABCの3つからチャンネルを選ぶことになります。
テレビは大衆文化の最高峰でした。アメリカ人の約半数がみんな同時に、「アイ・ラブ・ルーシー」の同じエピソードを見ているのです。
この独占によって引き起こされた番組の多様性の欠如と相まって、テレビの人気は社会的・政治的な結果をもたらし今に至ります。
パート2:原子戦争
「高度に発達した科学は魔法と区別が付かない」――アーサー・C・クラーク
無垢な抽象概念の領域として考えるほど、インターネットは物理的な構造を持っています。それは決して魔法ではありません。
インターネットは地面と海底トンネルに設置された一連の銅線と光ファイバーのケーブルです。これをインターネットバックボーンといいます。以下はその外観です。
そこからインターネットは地域のバックボーンを通じてさらに配給されます。米国のインターネットデータを伝送するすべてのファイバーです。赤い四角は「長距離」ファイバーの接合部を表します。
インターネットの影の功労者:バックボーンプロバイダ
6つの大手企業がバックボーンを制御し、お金を交換することなくお互いにトラフィックを「手渡して」います。
- レベル3コミュニケーションズ
- テリア・ソネラ
- NTT
- Cogent
- GTT
- TATA Communications
米国内ではベライゾンやAT&Tなどの長距離通信事業者によって制御されています。これらは米国の二千億ドル規模のワイヤレス業界の2/3を取り締まっています。
巨大な通信会社の関与にもかかわらず、インターネットのバックボーンはかなり健全な市場となっています。インターネットバックボーンの約40%は、聞いたことのないような小さなネットワークによって制御されています。
インターネットのマフィア:ISP(インターネットサービスプロバイダ)
一方、ブロードバンドインターネット市場はまったく健全ではありません。これはインターネットバックボーンに接続するケーブルの「ラストワンマイル」です。
ブロードバンドインターネット市場は、非常に強力な、そしてとても嫌われている3つのインターネットサービスプロバイダ(ISP)によって支配されています。
- Cox
- チャーター(最近他のISPであるタイム・ワーナーを買収した)
- 全米で最も嫌われる企業コムキャスト(アメリカのブロードバンドの56%を支配している)
ISPのもうひとつの形式は、ワイヤレスプロバイダです。
- AT&T
- Verizon(元AT&Tの一部)
この2つのプロバイダは、無線市場の2/3を占めています。携帯電話を持っているユーザーは毎月これらの会社のどちらかひとつにデータプランを支払うことになります。
これらのISPは、1970年代に埋められていた数百万マイルの銅線と1990年代に軌道に載った衛生を支配しています。
プロバイダは絶えず法律を破り、長期に渡る裁判で規制当局を停滞させ、例え相手がGoogleであったとしても自分達の市場に参入することを事実上不可能にします。
自由市場競争と、それが必要とする高価な技術のアップグレードを避けるのがISPの目的です。
ネットワーク中立性の仕組み
ISPはケーブルパッケージで大金を得ていました。しかし利用者はインターネットを使うようになり、ケーブルテレビをもう必要としないことに気付きます。データプランだけでYouTubeやNetflixだけでなく、たくさんのオンデマンドコンテンツも楽しむことができるからです。
ISPの目標はインターネットを「チャンネル」と「バンドル」にして、それらを買うように強制することによって「古き良き時代」に戻ることです。
これをどうやって防ぐかという方法を、我々はすでに持っています。2015年に、FCCは公益法人としてISPを規制する法律を可決しました。これは、ネットワークを通過するすべての情報は同等に扱われるべきであるという「ネットワーク中立性」の原則に基づいています。
FCCはこの話題に関するアンケートを実施し、300万人のアメリカ人が回答しました。その結果、ネットワーク中立性に反対したのは全体の1%未満でした。
通信会社との厳しい戦いの後、我々はFCCにネットワーク中立性を法律化するように説得しました。
FCCのTitle II規定は、ISPが次のことを行うことを防ぐ3つの「明確なライン」を作りました。
- Webサイトからのコンテンツのブロック
- Webサイトからのコンテンツの遅延
- コンテンツのスピードを上げるためにWebサイト側から資金を得ること
このルールは企業側がいかに強大であっても、インターネットへの優先アクセス権を買うことができないようにするためのものです。
誰もが平等な条件で競い合う必要があります。どんなハイテク企業でもスタートアップ企業や個人のビジネス、自分のドメインでWordPressを運営している独立したブロガーと競争しなければなりません。
現在ISPはユーティリティのように扱われています。パケットは配管を流れる水や送電網を通じる電気とどう違うでしょうか。
水道会社は、利用者が食器を洗ったりシャワーを浴びたりするたびに蛇口をひねっているかどうか気にするべきではありません。
電力会社は、利用者がテレビやトースターをコンセントに繋いでいるか気にするべきではありません。
ISPは、利用者がどんなデータを望み何に使うかということを気にするべきではないのです。
ISPネットワーク中立性を排除しようとする理由は簡単です。中立性が取り扱われなくなれば、プロバイダがより多くの料金を請求することができるからです。
AT&Tの元CEOが悪巧みをしています。
「彼らがやろうとしていることは、私のパイプを無料で使うことです。私はこれまで資金を費やしており、それによって利益を得なければいけないのですから無料で利用させるわけにはいきません。なので、パイプを使用する人がその分の料金を支払うメカニズムが必要になります。みんなが私のパイプを使用できるのは、私たちとケーブル会社が投資を行っているからであり、無料というのはおかしいのです。」――Edward Whitacre:AT&T CEO
この人が理解しないといけないのは、誰もがすでにインターネットにアクセスするための料金を支払っているということです。たとえばあなたは、この記事が読める状態のために何らかの支払いを行っています。私もこの記事をインターネットに出すために支払いをしている。このWebサイトもサーバーからあなたのコンピュータにトラフィックを送信するために支払いをしています。
我々はすでにISPの最後のケーブルを使用するための料金を支払っています。無料で使用している人はいません。
それなのにISPは稼ぎを二重にする機会を見出しています。通信速度のための料金を請求し、マフィアが「みかじめ料」と呼ぶものをWebサイトに請求しようとしています。
もちろん、オープンインターネットを利用している人のほとんどはISPにこの「みかじめ料」を払う余裕がなかったので、ISPはWebサイトへのトラフィックをブロックし、オープンインターネットの大部分から利用者を切り離しました。ISPはWebサイトをブロックする必要はありません。わずかな遅延行為を行えばいいのです。
GoogleとMicrosoftの調査によって、250ミリ秒でさえWebサイトを遅くするとほとんどの人がそのサイトを見るのをやめてしまうことが明らかになっています。
スピードは機能ではなく、利用者を引きつけるための基本的な前提条件だったのです。
つまりこれはISPが人為的にWebサイトを減速させると、実際にサイトを完全にブロックするほどの損害を与えることを意味します。結果として同じ状態、つまりトラフィックの重大な損失となります。
トラフィックはWebサイトの生命線です。それがなければ商品を売ることができず、サービスには出資されず、広告は表示されません。
ISPがブロックしなくても、トラフィックがなければオープンなWebは死んでしまいます。
ISPがネットワーク中立性に全面的な攻撃を開始
1月の米政権の変更と第45代大統領の選挙で、FCCにも変化が起こりました。
元ベライゾンの弁護士であったアジット・パイ会長(FCC)は、現在規制当局を管理しています。彼の言葉です。
「投資や技術革新、雇用の創出を抑制している不要な規制はなくすべきである」――FCC会長アジット・パイ
ISPは、インフラに利用者からの「みかじめ料」を再投資せず、すでに信じられないほどの独占利益を持っています。2016年の純利益(税引き後の利益)は次の通りです。
- AT&T:160億ドル
- Verizon:130億ドル
- コムキャスト:80億ドル
- チャーター:80億ドル
ISPはインフラの改善に踏み出す分の充分な利益があるにもかかわらず、その資金を株主にまき散らしています。
2ヶ月でパイ会長はすでにネットワーク中立性に対して信じられないほどのダメージを与えています。パイ氏はネットワーク中立性の法律に明確に違反していた4つの独占企業に対しての「ゼロ・レーティング訴訟」を取り下げました。
現在コムキャストとAT&Tは顧客がデータ上限を気にせず利用できる独自のビデオサービスを続けており、FCCもそれについて何もしない状態です。
元FCCのトム・ウィーラー会長はパイ会長に働きかけ、ネットワーク中立性の大切さを理解してもらうよう最善を尽くしました。両者は18ヶ月のうち2週間ごとに1度会う予定をしていましたが、パイ氏はこれらの会議をことごとくキャンセルしました。
オープンネットワークは必要であり、将来に不可欠なものです。――FCC元会長トム・ウィーラー
パート3:ビット戦争
次のインターネット中立性はどのようになるでしょうか。Apple社のApp Storeだけを見てみましょう。
2016年には200万のアプリがストアにあり、合計で280億ドルを拠出しました。Apple社はそれぞれの売上から30%の手数料を取り、App Storeだけで84億ドルの利益を得ています。
残りの200億ドルのほとんどは、ほんの一握りの携帯ゲーム会社の手に渡っています。
iPhoneユーザーのほとんどが、月にダウンロードするアプリの数がゼロであることが分かっています。
そして、アプリストアの上位8つのアプリは、FacebookとGoogleという二つの企業だけが所有しています。
残りの200万のアプリの大半はトラフィックがほとんどなく、少ない金額しか得ていません。
App Storeは平等なフィールドではありません。その上に構築されたオープンインターネットとは別のものであり、壁に囲まれた庭のひとつの例です。
塀の中の庭園は美しく見えます。最も人気のある植物の生息地だからです。しかしそこから壁の外に自由に冒険することはできません。
壁の中の庭にはゲートキーパーがいて、雑草のような植物は根絶やしにします。その庭に何かを植えたいときはそのゲートキーパーから承認を得る必要があります。
Appleはとても攻撃的なゲートキーパーであり、自社の利益と競合するアプリを排除し、企業の世界観と合わないアプリを検閲します。
壁に囲まれた庭の簡単な歴史
まず最初に、AOLという庭園がありました。
20年経ち、AOLは今でも20万人のユーザーを持ち月額20ドルの支払いを受けています。壁に囲まれた庭の中にユーザーを閉じ込めるためにはたくさんのお金が必要です。
そののち壁に囲まれていなかったYahooが現れますが、これもまた同じ道を歩みます。人々はまだインターネットに慣れていませんでした。
90年代後半、スタートアップ企業はYahooでバナー広告を購入できるように資金を調達しました。これは将来のユーザーにアプローチする一番いい方法でした。
地球上の人々の4分の1は、毎日平均50分間Facebookを利用しています。
マーク・ザッカーバーグの自慢のinternet.orgには、五千万人の人が接続しているでしょうか。発展途上国の人々がオープンインターネットに料金を支払うか、無料でFacebookを使うか。そして、みんなFacebookを選択しました。
インドではオープンインターネットの代わりにFacebookを使うことによってinternet.orgが拒絶されました。
マーク・ザッカーバーグ自身に悪意はありません。ただオープンインターネットは急速に破壊されています。Facebookのマーケットシェアを拡大する中で高度な検閲ツールを構築するだけでなく、政府を鎮めることすらできます。
Facebookは、こうした閉ざされたソース・閉ざされたデータの庭園で利益を得ようとしている他のインターネット企業のひとつに過ぎません。
世界時価総額トップ10の企業です。
- Apple
- Alphabet(グーグル)
- Microsoft
- エクソンモービル
- ジョンソン&ジョンソン
- ゼネラル・エレクトリック
- Amazon.com
- ウェルズ・ファーゴ
- AT&T
すべてアメリカに本拠地を置く多国籍企業です。そのうち6つはインターネット企業であり、1つはISPです。
これらは石油会社や銀行と同じような新しい体制です。彼らは情報を制御し、会話を制御し、政治を支配します。現に本人とそのアドバイザーも認めていることですが、Facebookは大統領の当選に影響しています。
Webサイトを立ち上げるためにかかるコストが低下しても、顧客を得るコストは依然上昇しています。
FacebookとGoogleは、オンライン広告費の伸びの85%を占めています。この二つの企業の口から落ちたパンくずのために、新聞・ブログ・ビデオネットワークなどすべての人が争っているのです。
すべてのインターネットトラフィックの半分は、わずか30のWebサイトからのものです。残りの半分はGoogleがインデックスしている60兆のWebページに薄く広がっています。
ロングテールの概念を知っていると、この現象は太った頭にとても長くて細いしっぽが付いた状態だと分かります。
私たちは技術の創始者を、慈善を行っている人だと盲目的に信じている
あなたは世界のマーク・ザッカーバーグやラリー・ペイジがその力を悪用するとは思わないでしょう。
Redditは大人気Webサイトのひとつです。その創業者の一人がユーザーのコメントを書き換えていたことが判明し、会社の評判が危機に陥ったことがあります。
私たちは一握りのエリート創業者だけでなく、その組織を引き継いだ人たちも善意的であって欲しいと信じています。株主や政府が悪意を持ってユーザーに反する行為を強制することがあったとしてもです。
20世紀始めにAT&Tの地方アクセスを援助した「慈悲深い独占」のテオドール・ベイルのように、マーク・ザッカーバーグもいつかは引退するでしょう。そして、Facebookを引き継ぐ人物は彼のように前向きではなく、Facebookのユーザーとクライアントに商売を行うだけのセールスマンかもしれません。
将来、我々のインターネットは中国のようにロックダウンされるかもしれない
中国は世界で最も高性能な検閲ツールを持っています。
14億人の中国人は、グレート・ファイアウォール内のクローズなインターネットの中に閉じ込められています。
すべてのパケットの内容を調べずにISPがどのパケットを減速させるかを決めることはできません。これはプロバイダがデータを送信するだけでなく、パケットの中身を実際調べることになるということを意味します。
実際過去に、AT&Tは何年間もトラフィックを違法に監視していたことがありました。
このようにインターネットのトラフィックを監視することで、閲覧という行為を行き渡らせることができます。これは中国が歴史を書き換えるときに使用するときのやり方のひとつです。そして、それは確かに機能します。
「思想は銃よりも強力である。敵に銃を持たせるべきではない。どうしてやつらに思想を持たせてやらねばならないのか。」――ヨシフ・スターリン
ISPが成功し、オープンインターネットが崩壊すれば企業や政府は人類史上最も強力なコミュニケーションツールであるインターネットの検閲官になるでしょう。
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