LPICとは?試験概要や取得メリットを現役エンジニアが徹底解説
初心者向けにLPICについて解説しています。これはLinux技術者の資格試験です。ここではLPICの試験の種類やそれぞれの試験概要、受験料、学習方法などを紹介します。受験の際に参考にしてください。
テックアカデミーマガジンは受講者数No.1のプログラミングスクール「テックアカデミー」が運営。初心者向けにプロが解説した記事を公開中。現役エンジニアの方はこちらをご覧ください。 ※ アンケートモニター提供元:GMOリサーチ株式会社 調査期間:2021年8月12日~8月16日 調査対象:2020年8月以降にプログラミングスクールを受講した18~80歳の男女1,000名 調査手法:インターネット調査
LPICについて解説します。Linuxの開発は日本だけでなく世界的にポピュラーで資格を取得することで様々なキャリアの選択肢を持つことができるようになります。
今回はLinuxでの開発における資格LPICについて詳しく解説していきます。
なお本記事は、TechAcademyの法人向けIT・プログラミング研修での実績をもとに紹介しています。
今回は、資格に関する内容だね!
どういう内容でしょうか?
LPICについて詳しく説明していくね!
お願いします!
目次
LPICとは
LPICとは、Linux Professional Institute によって実施されているLinux技術者の資格試験です。LPICは「Linux Professional Institute Certification」の略でエルピックと読みます。
LPICは世界180カ国以上で実施されており、日本ではLPIC日本支部が運営を行っています。全世界の延べ受験者数は60万人以上、その内日本国内では20万人以上が受験しており、日本の受験者の割合が多いのが特徴です。LIPCは2001年から認定を開始しており、現在はLinux技術者の資格試験として標準的な位置づけとなっています。
LPICが対象としているLinux
Linuxはバックエンドで標準的に使用されているオペレーティングシステムです。Webサーバやメールサーバ、データベースサーバなど、多くのバックエンドサーバで標準的に使用されています。一般ユーザーはあまり触れることがないと思われるLinuxですが、実はスマートフォンのオペレーティングシステムであるAndroidもLinuxの1種です。
バックエンドでLinuxが多く利用されている理由
その理由はセキュリティの高さと(管理者目線で見た)利便性です。
Linuxはオープンソースソフトウェアとして多くの技術者が開発に参加しており、セキュリティ的な問題があったとしてもほぼ即座に対応が行われています。またこれまで世界中で運営されてきたノウハウなどが多く公開されており、一定の知識があると、バックエンドサーバの構築から運営まで、かなり効率的に行うことができます。
Linuxは多くの種類(ディストリビューション)がありますが、それらの種類に共通した一般的なLinuxの知識を問うのがLPICとなっています。
なお、LPICはこれまでLPI-Japanという団体が試験の運営を行って来ましたが、LPI-Japanは2018年3月にLinuCという独自試験を開始しました。その後LPIはLPI日本支部を設立してLPICの運営もLPI日本支部が行うことになっています。
運営団体は変更になりましたが、旧来のLPIC試験との継続性は保たれており、引き続きLinux技術者の資格試験として標準的なものとなっています。
LPICの試験概要
LPICは難易度に応じて3つのレベルの試験が用意されています。
LPIC-1認定Linux管理者
LPICの入門編です。Linuxのインストールと構成、コマンドラインでのコマンドの実行など、基本的な知識を確認します。LPIC-1は101試験と102試験の両方に合格する必要があります。
対象試験 | 101-500、102-500 |
有効期限 | 5年(5年の間に2つの試験に合格する必要あり) |
試験時間 | 90分 |
出題数 | 各試験とも約60問 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing) パソコンを使っての受験 |
合格率 | 非公開 |
受験手数料 | 各15,000円 |
LPIC-2認定Linuxエンジニア
LPICの中級編です。中小規模の混在ネットワークを管理する能力を確認すると位置づけられています。LPIC-2は201試験と202試験の両方に合格する必要があります。LPIC-2を受験するにはLPIC-1認定を取得している必要があります。
対象試験 | 201-500、202-500 |
有効期限 | 5年(5年の間に2つの試験に合格する必要あり) |
試験時間 | 90分 |
出題数 | 各試験とも約60問 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing) パソコンを使っての受験 |
合格率 | 非公開 |
受験手数料 | 各15,000円 |
LPIC-3
LPICの上級編です。LPIC-3はカテゴリー毎に3つの試験に分けられています。全ての試験に合格する必要はなく、カテゴリー毎に認定が行われます。
- LPIC-3 300:混在環境
- LPIC-3 303:セキュリティ
- LPIC-3 304:仮想化とハイアベイラビリティ
LPIC-3を受験するにはLPIC-2認定を取得している必要があります。なお2019年5月1より、受験手数料が30,000円から15,000円に値下げされ、より受験しやすくなりました。
対象試験 | 300-500、303-500、304-500 |
有効期限 | 5年 |
試験時間 | 90分 |
出題数 | 各試験とも約60問 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing) パソコンを使っての受験 |
合格率 | 非公開 |
受験手数料 | 各15,000円 |
試験概要 – LPIC-3 304:仮想化とハイアベイラビリティ
LPICを取得するメリット
LPICを取得するメリットは2つあります。詳しく解説していきます。
Linuxに関する基礎知識が得られる
LPICを取得する最大のメリットは、学習の過程でLinuxに関する基礎知識が得られることでしょう。Linuxはバックエンドで標準的に使用されているとはいえ、周囲に相談できる技術者が居ないと一から知識を身につけるのは難しいものがあります。
LPICは標準的なLinuxの構築、運用に合わせて試験内容が設計されているため、学習を通じて標準的な知識を身につけることができます。LPIC-1で基礎知識を身に着けてから、インターネット上で共有されているシェルスクリプトなどを参考にすると、実践的なスキルを身につけやすいでしょう。
専門知識ををアピールできる
LPICを取得するもう1つのメリットは、Linuxに関する専門知識を持っていることをアピールできることです。
Linuxは広く使われているとはいえ、専門知識を持った技術者はまだまだ少ない状況です。LPIC-1であっても資格を保有していることをアピールすることで、就職活動の際有利になるでしょう。
なお、バックエンドやネットワーク系の資格試験としては、LPICの他に以下のようなものもあります。併せて検討してみると良いでしょう。
CCNA ~ CCNAとは(TechAcademyマガジン)
情報処理技術者試験:ネットワークスペシャリスト(公式サイト)
LPICに必要となる知識
LPICではLinuxの使用に関する基礎知識が幅広く問われます。普段Linuxを運用保守していたとしても、特定の作業しか行わない、一から構築したことが無いといった場合には、合格は難しいかもしれません。
まずは出題範囲を確認し、後述する参考書から自分に合ったものを選んでひととおりの基礎知識を身につけると良いでしょう。各レベルのLPIC試験に必要となる知識は公式サイトで詳しく説明されています。
LPICの勉強に役に立つ参考書まとめ
最後にLPICの学習に役立つ参考書をいくつかご紹介します。いずれもLPIC-1を対象とした参考書です。書籍を選ぶ際は必ず内容を確認し、自分のレベルに合ったものを選ぶようにしましょう。
LPIC参考書の定番です。最新のバージョン5にも対応しており、安定の内容となっています。版を重ねる毎に見やすくなっており、最初の1冊としてとてもおすすめです。
こちらも超定番の問題集です。バージョン5に対応しています。前記した「Linux教科書 LPICレベル1 Version5.0対応」と併せて購入すると良いでしょう。
1週間シリーズの最新版です。上記に比べて難易度が低く設定されています。これ1冊での合格は難しいかもしれませんが、初学者におすすめです。
LPIC試験対策ではありませんが、LPI-JapanからLinux標準教科書が無償で公開されています。無償とはいえ内容は充実しており、Linuxの基礎を学ぶのに適しています。一度目を通してみると良いでしょう。
監修してくれたメンター
太田和樹(おおたかずき)
ITベンチャー企業のPM兼エンジニア 普段は主に、Web系アプリケーション開発のプロジェクトマネージャーとプログラミング講師を行っている。守備範囲はフロントエンド、モバイル、サーバサイド、データサイエンティストと幅広い。その幅広い知見を生かして、複数の領域を組み合わせた新しい提案をするのが得意。 開発実績:画像認識技術を活用した駐車場混雑状況把握(実証実験)、音声認識を活用したヘルプデスク支援システム、Pepperを遠隔操作するアプリの開発、大規模基幹系システムの開発・導入マネジメント。 地方在住。仕事のほとんどをリモートオフィスで行う。通勤で消耗する代わりに趣味のDIYや家庭菜園、家族との時間を楽しんでいる。 |
内容分かりやすくて良かったです!
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分かりました。ありがとうございます!
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