icon
icon

未踏ジュニア最年少スーパークリエータが語る「Medical × Technology」で実現したいこととは

小学5年生からプログラミングを始め、未踏ジュニアから「スーパークリエータ」に採択された大塚嶺さん。孫正義育英財団に入り「Medical × Technology」を軸に様々な活動を行う彼にプログラミングを学ぶきっかけ、開発ストーリーや今後実現していきたいことなどをお話ししてもらいました。

テックアカデミーマガジンは受講者数No.1のプログラミングスクール「テックアカデミー」が運営。初心者向けにプロが解説した記事を公開中。現役エンジニアの方はこちらをご覧ください。 ※ アンケートモニター提供元:GMOリサーチ株式会社 調査期間:2021年8月12日~8月16日  調査対象:2020年8月以降にプログラミングスクールを受講した18~80歳の男女1,000名  調査手法:インターネット調査

小学5年生からプログラミングを始め、未踏ジュニアから「スーパークリエータ」に採択された大塚嶺さん。

孫正義育英財団に入り「Medical × Technology」を軸に様々な活動を行う彼にプログラミングを学ぶきっかけ、開発ストーリーや今後実現していきたいことなどをお話ししてもらいました。

プロフィール:大塚嶺(15)
2005年生まれ。中学3年生。
小学5年生からプログラミングを始める。
小中高生クリエイター支援プログラム未踏ジュニアから支援を受け、文字を読みやすくするアプリ『らくらく読み読み』を開発。
2017年度、未踏ジュニアから「スーパークリエータ」に採択される。
その後、孫正義育英財団に入り「Medical × Technology」を軸に、介護に関するテクノロジーを進歩させていい暮らしを作ることを目指す。

体験会からプログラミングに興味を持ち、小学生でスーパークリエータに

――今までの経歴や取り組んできたこと、プログラミングとの関わりについて教えてください。

プログラムを始めたのは小学5年生のときです。

プログラミング教室の体験会に行ったことがきっかけでプログラミングを知り、面白いなと思って始めました。

それから※1 未踏ジュニアに最年少で採択されて2017年度に最年少で「スーパークリエータ」になりました。

その後、※2 孫正義育英財団に入り、今は「Medical×Technology」を軸に医療で解決できない課題をプログラミングで解決することを自分のコンセプトとして活動しています。

具体的には、高齢者の立ち上がる動作を補助するために、サポートする器具を付けて体を軽くしてあげるなど、介護に関するテクノロジーを進歩させていい暮らしを作っていくことを考えています。

※1 未踏ジュニアについて:
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が行っている、テクノロジーを駆使して独創的なアイデアを実現する能力を持つ若い人材を発掘することを目的とした、未踏IT人材発掘育成事業(以下「未踏」)の中高生版。民間からのスポンサーを得て、未踏事業のOB・OGがボランティアで運営・メンターを行っている。

 

※2 孫正義育英財団について:
応募時点で25歳以下の異能を持った若い人たちが集っている財団で、プログラミング、AI、生物、物理など幅広い学術分野を専門とするメンバーがいる。このコミュニティによって、自らの視点が広がる。

 

――プログラミングに興味を持った一番の理由は何でしょうか。

ひとつは数学が得意で、アルゴリズムやロジックで物事を考えるのが好きだったことがあります。

もうひとつは、自分の作りたいものがすぐに作れることです。

工作だと材料を集めたり費用がかかります。

一方で、プログラミングは「コードを書く」という同じ作業をするだけでちゃんと同じものを作れます。

自分の技術力の担保は別の問題として、ベースラインはプロでも一般でも同じという点に魅力を感じてプログラミングを好きになっていきました。

 

――最初はビジュアルプログラミングとコーディングのどちらから学習を始めましたか。

最初からコーディングを学習しました。

言語はJavaScript、HTML、CSSといったWeb系の言語から学んでいます。

今でもフロントエンドが一番強いですね。

「人間を改良できないなら道具自体を進化させたらいい」視力の衰えた曽祖父を想いアプリ開発

――未踏ジュニアに応募したきっかけを教えて下さい。

プログラミング教室の受講を、中学受験の関係で短期間に詰めて学習し、本来4年のカリキュラムを1年で終了し、かなり早く卒業しました。

その時に未踏ジュニアの話を聞かせていただいて、それがきっかけで受験をしながら始めました。

 

――そのときはどういう企画で応募しましたか。

『らくらく読み読み』というアプリを作成しました。

背景としては、私の曽祖父は将棋と新聞が好きだったのですが、視力が悪くなり、将棋はコマが見えない、新聞は見出ししか読めない状態が続いていました。

高齢ということもあり、手術はできませんでした。

そこで、「人間の方を改良できないのなら道具自体を進化させたらいいのではないか」と考え、文字を大きくするアプリを開発しました。

メインは文字を大きくする機能ですが、他にも、「アイトラッキング」というユーザーが画面上のどこの位置を見ているのかを計測する技術を使って使いやすさを高めました。

例えば、新聞の読んだ場所までマーカーを引いてくれたり、手で触らなくても目だけで操作ができるようにしたり、限度なくズームができるようにしたりして、誰にでも分かりやすいユーザーインターフェースを開発しました。

 

――未踏ジュニアの中で活動の幅が広がったり、人との出会いで人生が変わったりということはありましたか。

未踏ジュニアを始めてから、同年代でプログラミングをしている人に出会えるようになりました。

 

[PR] ITスキルを習得して在宅で副業する方法とは

「街づくり」をテーマとしたARアプリ開発にチームで取り組む

――現在取り組んでいるプロジェクトについて教えてください。

今は「街づくり」をテーマとしたアプリ制作を行っています。

ARを使ったiPhoneアプリで街中でカメラをかざすと、「ポケモンGO」でいうポケストップのような情報を管理するオブジェクトが表示され、それを好きな場所に置き、街を作っていくというクリエイト系のアプリです。

そのオブジェクトの形を変えられたり、文字や写真を加えたり、色々な機能をつけることができます。

写真を投稿したり、文字を入れたりする機能についてのユーザーインターフェースを用意して、ユーザー側がボタンなどでポストできるようにすることで、観光地での観光を面白くしたいと思ったときに活用できます。

お寺の前にそのオブジェクトを置いて、そこにカメラをかざすと説明文やガイドが出てくるようにしたり、3Dで過去の映像などのデータが見れるようにしたりすると面白いと思います。

観光以外にも、道路の交差点の壁を通れないようにして、街規模で迷路ができるようにするといった使い方もできます。

実際にユーザー自身がそのようなことを考えて、作ることができるものを開発しています。

 

――どういったメンバーで開発を行っていますか。

現在は3人で開発を行っています。

2人がデベロッパーで、1人がコンテンツ企画を担当しています。

デベロッパーは1つ年上のプログラミング友達です。

もう一人が高校2年生で、環境など様々なことに関心を持ち、対外活動を行っている人です。

 

――そのアプリを作成しようと思ったきっかけを教えてください。

元々はお年寄りにARゴーグルをかけてもらって、日常会話で生まれるニーズをわかりやすいユーザーインターフェイスによって解決するアプリをつくりたいと思ったのがきっかけです。

例えば、ビデオチャットをしている時に、話している内容を目の前で自動でテキスト化し、分かりにくい単語について説明文や写真などを表示してくれたりする様なイメージです。

私がARについてあまり詳しくないこともあり、開発するだけの技術力が足りなかったのですが、ARアプリの開発にチャレンジしてみることにしました。

そこで、デベロッパーの知り合いを1人巻き込んで開発を進めることにしたのですが、2人では議論がまとまらず、コンテンツデザインを決める担当としてもう1人をメンバーに加え、やっと解決することができました。

 

――やりたいことを叶えるために仲間を増やしていく感じですね。現在はどれくらい開発が進んでいますか。

今はAR上にGPS情報から情報を表示するオブジェクトを置いて、カメラをかざすと見えるところまで完成しています。

写真や文字を追加する機能はこれから実装予定で、開発進捗でいうと60%~70%ぐらいですね。

今年の6月くらいまでには完成できたらと思っています。

 

――開発中のARアプリについて、どのような人に使ってほしいですか。

特定の層のユーザーに絞っているわけではありません。

どちらかというとニーズから決めたものではなくて、本当にARがやりたくて作ったものなので、アプリ自体のターゲットは広いです。

 

――開発で苦労したところはありますか。

アプリ概要を決めてから開発を始めなかったため、無駄な時間を費やすことがありました。

アプリの軸がふわっとした状態で開発をしていると、例えば、「Aという機能を作ったけれどやっぱりいらない」という場面が発生します。

そうすると、Aの機能を実装するためにたくさんコードを書いたのに消すことになり、時間を取られていくことになりますよね。

その経験から改めて、最初に軸を決めることが大事だと気付きました。

 

――他に個人的に活動されていることはありますか。

個人だと、最近はWebサイト作成を行うことが多いです。

自分のサイトも制作していますが、他のサイト開発も行なっています。

あらゆる物を使いやすくして暮らしやすい社会を実現したい

――これからプログラミングで実現したいことを教えてください。

様々なことを短い手順でできるようにするアプリやデバイス、サービスを作っていきたいです。

同じ機能があっても、その機能をどういう見せ方でユーザーにアプローチするかによって使いやすさは変わってきます。

例えばWebサイトを作ったとしても、デザイン性が全くないと見づらいサイトになってしまいますよね。

それを、ユーザー目線でデザインを考え、画面やユーザーインターフェースを変えれば見やすいサイトになります。

同じコードでも、どういう風にアプローチするかで変わるので、その辺りを向上させたいです。

元々は将来医者になることを考えており、今でも医療関係で何かをできないかと考えています。

そのため、これまでにはないような新しいユーザーへのアプローチ方法を考えて、現在よりも良いUIを作成できればと思います。

 

――これから新しくプログラミングを始める人や、今学んでいる人へメッセージをお願いします。

プログラミングはあくまでツールでしかないと考えています。

プログラミングができること自体ももちろん凄いことだと思いますし、できる人はこれからどんどん増えてくるから、それだけじゃなくてプログラミングを使って何かをする、自分のやりたいことを実現するツールとして使うのが大事だと思っています。

プログラミングは、大人であっても子どもであっても、同じものが同じ環境で作れる。

だからこそ、ベースが同じであって、実力はもちろんないと作れないけれど、逆に言うと技術力さえあれば同じものが作れる、よりよいものが作れるというのが醍醐味だと思います。

みなさんも、プログラミングで自分のやりたいことをやって、人の役に立てるように頑張ってください!

 

TechAcademyジュニアは、小中高校生向け実践的プログラミングサービスです。独自で開発した学習システムは、基礎から実践までステップアップ式のカリキュラムとなっており、生徒が1つの画面で迷うことなく学習を進めることが可能です。

現在、自宅にいながらプログラミングの楽しさについて知ることができるプログラミング学習体験を実施しています。プロから学べる機会ですので、ぜひ体験してみてください。