Amazon EC2とは?利用メリットや使い方を現役エンジニアが解説【初心者向け】
初心者向けにAmazon EC2について解説しています。これはAWSのひとつで、仮想サーバーを提供するサービスです。Amazon EC2の主な機能と利用することによるメリット、料金、導入方法について見ていきましょう。
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Amazon EC2の利用メリットや使い方について解説します。
なお本記事は、TechAcademyの法人向けIT・プログラミング研修での実績をもとに紹介しています。
今回は、ツール系に関する内容だね!
どういう内容でしょうか?
Amazon EC2について詳しく説明していくね!
お願いします!
目次
※免責事項
この記事は2019年9月に更新された記事のため情報が古くなっている場合がございます。
Amazon EC2とは
Amazon EC2とは、アメリカのAmazon社により提供されているクラウドサービスAWSの1つです。
AWSで主に使われているサービスには以下のようなものがあります。
- EC2
- EBS
- S3
Amazon EC2はその中の1つで仮想サーバー機能を提供します。
AWSの特徴は、従量課金制のパブリッククラウドであることです。
EC2などを含む全てのサービスは、選択したスペックに応じて課金されます。
また、稼働した時間に従って課金されるものであるため、稼働していない時間においては課金されません。
加えて、使用料金に関しては定期的に見直しがされており、数あるクラウドサービスの中でも安価だといえるでしょう。
最初のサインアップから12ヶ月間無料であるため、使用のしやすいサービスです。
Amazon EC2を利用するメリット
Amazon EC2は仮想サーバーです。
Amazon EC2を使わずに物理サーバーを構築するのに比べ、費用面や拡張性で多くのメリットがあります。
初期費用ゼロ、低運用コスト
物理サーバーであれば、構築の前にハードウェア機器の購入やネットワーク回線の敷設が必要であり、膨大な初期費用が必要です。
Amazon EC2の場合初期費用は発生しません。
仮想サーバー(インスタンス)を作成しただけでは費用は発生せず、インスタンスを稼働させてからはじめて費用が発生します。
また、運用コストもインスタンスを稼働させた時間に応じた従量課金制です。
Amazon EC2は競合他社と比較優位になるように、これまで多くの値下げを行ってきており、仮想サーバーとしてはほぼ最安値といって良い運用コストで利用可能になっています。
高い拡張性
インターネット上でサービスを提供している場合、メディアに取り上げられるなどして、いわゆる「バズった」状態になると、急激にアクセス数が増大する場合があります。
それは大きなビジネスチャンスでもあるのです。
物理サーバーの場合、アクセス数に応じて即座にサーバーリソース(メモリやCPU、サーバー台数等)を強化することはかなり難しいといえるでしょう。
逆に朝や夕方だけにアクセス数が多いなど、時間帯に応じてサーバーリソースを調整することも物理サーバーの場合は困難です。
Amazon EC2の場合、必要な時に数クリック、数分間でサーバリソースの調整が可能です。
インスタンスを稼働させている時間だけ費用が発生するため、繁忙期に短期的にサーバリソースを強化したり、夜間など稼働が低い時に低スペックのサーバーを稼働させるなどの対応が柔軟に行なえます。
他のAWSサービスとの連携
AWSではAmazon EC2以外にも多くのサービスが提供されています。
多く利用されているサービスをいくつか確認していきましょう。
Route53 + EC2(ELB)
Route53はドメインを管理するサービスです。
また、ELBはEC2で提供されている負荷分散の機能です。
組み合わせることで、単一ドメインへのアクセスを複数のサーバーに分散させるロードバランサー機能を実現できます。
EBS + EC2
EBSはストレージサービスです。EC2にもストレージ機能はありますが一時的なものであり、インスタンスを停止すると内容が消去されてしまいます。
EBSはEC2にドライブとしてマウントすることができるため、データベースなどを使用するサーバーの場合にはほぼ必須の組み合わせといえるでしょう。
S3 + EC2
S3もストレージサービスです。
ドライブとしてマウントはできません。
容量無制限/高い耐久性/EBSと比較して低コストなどのメリットがあります。
そのため、バックアップやログの退避先として多く使われている状況です。
Amazon EC2の機能
Amazon EC2 は以下のような機能で構成されています。
インスタンス
Amazon EC2の中心となる仮想サーバーです。
インスタンスはインスタンスタイプと呼ばれるOSやCPU、メモリ、ストレージなどの構成から選んで作成します。
インスタンスは管理コンソールで起動や停止、セキュリティ等各種設定などを行いましょう。
ファイアウォール機能
Amazon EC2には標準でファイアウォール機能が用意されています。
セキュリティグループというものを作成し、インスタンスに到達できる信号(プロトコル、ポート番号、送信元アドレス)をファイアウォールで制御できます。
逆に言うと設定ミスでポートに穴を開けてしまうため、重大なセキュリティホールとなるため、その点には注意が必要です。
キーペアを使用したログイン管理
インスタンスへのログイン情報は公開鍵暗号方式で管理、保存することができます。
パスワード認証よりもセキュリティ強度が高いため、ほぼ標準利用といえるでしょう。
なおログイン管理としてはAWS自体へのログイン管理にも十分な注意が必要です。
時々AWSの乗っ取り被害にあったというニュースを耳にするものの、多くの場合、AWSへのログインをパスワードだけで管理していることが原因です。
AWSでは多段階認証が設定できるため、セキュリティ被害を防ぐため、必ず設定するようにしましょう。
Amazon EC2の料金
Amazon EC2の料金には以下の種類があります。
- オンデマンド:基本的な時間(秒)あたりの従量課金制
- スポットインスタンス:短期間で突発的な利用を行いたい場合。オンデマンドより割安
- リザーブドインスタンス:長期的な利用が想定される場合。前払いを行うことで割安に利用できる
- Dedicated Hosts:データセンター内の物理サーバーを専有する方式
ここでは、主に使われているオンデマンドを例に、料金を確認していきましょう。
Amazon EC2の料金算定には「SIMPLE MONTHLY CALCULATOR」を使用します。
ここからEC2を選択し、インスタンスタイプを選定すると料金が算出可能です。
インスタンスタイプには多くの種類があるため、名前の見方について確認し、おすすめのインスタンスタイプについてみていきましょう。
先頭1文字[a/c/d/f/g/h/i/m/p/r/t/x/z]
インスタンスの種類を表します。
一般的には汎用的なtタイプやmタイプを良く使います。
その他、GPUが搭載されているgタイプやメモリ量が多いrタイプなど、多くの種類があることを考慮しましょう。
2文字目[1~5]
インスタンスの世代を表しています。
数値が大きいほど新しい世代と判断できます。
しかし、一般的に使用するスペック帯であれば、例えばm4とm5のスペック差は微妙であり、料金体系もほとんど変わりません。
世代の差としては、新しい世代がより高スペックなインスタンスタイプもサポートしている、といった内容が中心になるでしょう。
おすすめのインスタンスタイプ
インスタンスタイプは、規模や用途によっておすすめが異なるため一概にはいえません。
よく使うのはm4.largeです。
オペレーティングシステムは概ねLinuxを選定することになるものの、導入するソフトウェアの指定などがある場合はWindowsを選定した方が苦労しないでしょう。(Windowsの場合でも、ライセンス料はAWS利用料に含まれています)。
名前 | 料金(オンデマンド/時間) |
m4.large | $0.1 |
m5.large | $0.096 |
また、一時的な用途や検証などで多く使用されるのはt2やt3インスタンスタイプです。
これらはスペックは低いものの、価格もとても安価に抑えられているため、ソフトウェアの開発やテストの段階で多く用いられています。
例えば、t2やt3でテストを行った後、m4.largeにスケールするようなイメージです。
名前 | 料金(オンデマンド/時間) |
t2.nano | 0.0058 |
t2.micro | 0.0116 |
t3.micro | 0.0104 |
Amazon EC2の使い方
Amazon EC2はコンソールでインスタンスを作成するところから始めましょう。
AWSを利用して最初のサインアップから12ヶ月間は無料で利用できる枠が用意されています。(毎月 750 時間分の Linux および Windows の t2.micro インスタンス)
750時間≒31日なので、連続起動していても無料枠の中に収まります。
スペックはやや低いものの、検証用としては十分でしょう。
また、おすすめのインスタンスタイプを紹介したものの、利用シーンによってより様々な導入形態が想定されます。
AWSでクラウド推奨構成が公開されているので参考にすると良いでしょう。
Amazon EC2の料金算定には前記した「SIMPLE MONTHLY CALCULATOR」を使用します。
しかし、インスタンスの比較などが分かりづらいといえます。
AWS以外のサイトになるものの、以下のような比較ツールも公開されているので参考にしてみてください。
執筆してくれたメンター
太田和樹(おおたかずき)
ITベンチャー企業のPM兼エンジニア 普段は主に、Web系アプリケーション開発のプロジェクトマネージャーとプログラミング講師を行っている。守備範囲はフロントエンド、モバイル、サーバサイド、データサイエンティストと幅広い。その幅広い知見を生かして、複数の領域を組み合わせた新しい提案をするのが得意。 開発実績:画像認識技術を活用した駐車場混雑状況把握(実証実験)、音声認識を活用したヘルプデスク支援システム、Pepperを遠隔操作するアプリの開発、大規模基幹系システムの開発・導入マネジメント。 地方在住。 仕事のほとんどをリモートオフィスで行う。 通勤で消耗する代わりに趣味のDIYや家庭菜園、家族との時間を楽しんでいる。 |
Amazon EC2の利用メリットや使い方がよく分かったので良かったです!
ゆかりちゃん、これからも分からないことがあったら質問してね!
分かりました。ありがとうございます!
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