PythonのJoblibで並列処理を行う方法【初心者向け】
初心者向けにPythonのJoblibで並列処理を行う方法について解説しています。並列処理の仕組みと利点・注意点、Joblibを使った並列処理の方法について解説します。サンプルコードを見ながら実際の処理を見てみましょう。
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PythonのJoblibで並列処理を行う方法について解説します。
そもそもPythonについてよく分からないという方は、Pythonとは何なのか解説した記事を読むとさらに理解が深まります。
なお本記事は、TechAcademyのオンラインブートキャンプPython講座の内容をもとに紹介しています。
今回は、Pythonに関する内容だね!
どういう内容でしょうか?
Joblibで並列処理を行う方法について詳しく説明していくね!
お願いします!
並列処理とは
並列処理とは、プログラムの処理速度を向上させる方法の1つです。通常プログラムは書いた順番に1行ずつ実行されます。これを逐次処理といいます。一方、現代のコンピューターはマルチコアと言って、複数の処理を同時に実行できるCPUが多く実装されています。
そこで多数の情報に対して同じ処理を実行するような場合、CPUの各コアに対して処理を分散して実行させることで、処理速度を向上させることができます。これを並列処理といいます。なお、並列処理を行う場合、以下の点に注意する必要があります。
依存関係のある処理の分散
例えば、ある処理Aの結果をもとに別の処理Bを実行する場合、処理Aと処理Bを並列処理してしまうと、正しい実行結果は得られません。依存関係がある処理を並行させていないか、確認するようにしましょう。
同じリソースを使用する場合の制御
例えば、並列処理で同じファイルに対して書き込みを行う場合、1つの処理が書き込みしている間、他の処理は書き込みを待っている必要があります。排他制御とも呼ばれます。同じリソースを使用する場合、排他制御が正しく行われているか、確認するようにしましょう。
Joblibで並列処理を行う方法
Python で 並列処理を行う際多く用いられるモジュールが Joblib です。まずは必要なライブラリをインストールしましょう。パソコンが Macならターミナル、Windowsならコマンドプロンプトから以下のコマンドでインストールします。なお、事前に Python のインストールが必要です。
pip install joblib
並列処理を行う場合、以下のように記述します。
# 必要なライブラリのインポート from joblib import Parallel, delayed # 並列処理の記述 結果 = Parallel(n_jobs=-1)([delayed(処理名)(引数) 繰り返し構文など )
n_jobsに-1を指定すると、そのコンピューターのコア数に合わせて処理を分割します。1を指定すると逐次処理と同じになります。その他のオプションなど、詳細は公式ドキュメントを参考にしてください。
https://pypi.org/project/joblib/
実際に書いてみよう
今回のサンプルプログラムでは、逐次処理と Joblib を使用した並列処理の処理速度を比較し、並列処理の処理速度が向上していることを確認します。はじめに逐次処理のプログラムです。
from time import time def proc(n): return sum([m * n for m in range(10000)]) # 処理時間計測開始 start = time() # 時間がかかる処理 total = 0 for i in range(10000): total += proc(i) # 処理結果を表示 print(total) print('逐次処理', (time() - start), "秒")
実行結果は以下のようになります。秒数はプログラムを実行するコンピューターによって異なります。
2499500025000000 逐次処理 7.490278244018555 秒
次に並列処理のプログラムです。
from joblib import Parallel, delayed from time import time def proc(n): return sum([m * n for m in range(10000)]) # 処理時間計測開始 start = time() # 時間がかかる処理(並列処理) sub = Parallel(n_jobs=-1)( [delayed(proc)(i) for i in range(10000)] ) total = sum(sub) # 処理時間を表示 print(total) print('並列処理', (time() - start), "秒")
実行結果は以下のようになります。逐次処理と処理結果が一致していることが確認できます。今回の場合、約半分の時間で処理を終えることができました。
2499500025000000 並列処理 4.38409423828125 秒
この記事を監修してくれた方
太田和樹(おおたかずき) 普段は主に、Web系アプリケーション開発のプロジェクトマネージャーとプログラミング講師を行っている。守備範囲はフロントエンド、モバイル、サーバサイド、データサイエンティストと幅広い。その幅広い知見を生かして、複数の領域を組み合わせた新しい提案をするのが得意。 開発実績:画像認識技術を活用した駐車場混雑状況把握(実証実験)、音声認識を活用したヘルプデスク支援システム、Pepperを遠隔操作するアプリの開発、大規模基幹系システムの開発・導入マネジメント 地方在住。仕事のほとんどをリモートオフィスで行う。通勤で消耗する代わりに趣味のDIYや家庭菜園、家族との時間を楽しんでいる。 |
内容分かりやすくて良かったです!
ゆかりちゃんも分からないことがあったら質問してね!
分かりました。ありがとうございます!
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