SIerとは!業務内容と企業の例を解説【未経験者向け】|現役エンジニアが解説
初心者向けにSIerの仕事内容と企業の例について解説しています。SIer(システムインテグレーター)と呼ばれる業務について、主な企業の例や関連する資格、どのようにしてなるのかについてまとめました。ぜひ参考にしてください。
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SIerの仕事内容と企業の例について解説します。
最初に国内の主要なSI企業とその概要をいくつか挙げて紹介します。
そういった企業に転職する場合、実際にどういった手順を踏めばいいかについて見ていきましょう。
本記事はエンジニア転職を保証するTechAcademy Proの就職実績を元に制作しています。
なお、今回の記事の内容は動画でもご覧いただけます。
テキストよりも動画の方が理解しやすいという場合はぜひご覧ください。
今回は、キャリアに関する内容だね!
どういう内容でしょうか?
SIerの仕事内容と企業の例について詳しく説明していくね!
お願いします!
目次
Sler とは
SIerとは、システムインテグレーター(System Integrator)の略です。
いわゆるシステム開発会社(ITベンダーなどとも呼ばれます)のことを指し、SE(システムエンジニア)の大半はSIerに所属しています。
SIerは、クライアントの要求を受け、ITシステムの企画、構築、運用を行います。
日本のSIerの場合、1社で全ての作業を行うことはまれで、規模が大きい会社が受注した仕事を、複数の小〜中規模の会社が協力して遂行します。仕事を受注した会社を「元請け」、元請けから仕事を受ける会社を「下請け」「孫請け」といいます。
建設業と似ていますね。
国内の主なSI企業
それでは国内の主なSI企業を見てみましょう。
2019年度の連結売上高上位5社は以下の企業となります。
1位:NTTデータ
売上高:2兆2,668億円(2019年度)
従業員数:118,006名(グループ全体/2018年3月末現在)
http://www.nttdata.com/jp/ja/index.html
国内で圧倒的な売上高を誇るのがNTTデータです。
特に官公庁のITシステム構築においては圧倒的な強さがあります。
その他AIや量子コンピュータなど、先進的な事業にも取り組んでいます。
前年比の増収率が22.2%と、日本で最も好調なSIerの1つと言えるでしょう。
2位:大塚商会
売上高:8865億3600万円(2019年度)
従業員数:8,912名 (連結子会社を含む/2019年12月末現在)
https://www.otsuka-shokai.co.jp/
2位は大塚商会です。SIerとしてだけではなく、事務用品の販売や学校、教育現場へのIT導入など、幅広い事業を展開しています。
特に中小企業の基幹システムに強みがあり、ITに関するサービスをまるごと提供するワンストップサービスで事業を広げています。
3位:キヤノンマーケティングジャパン
売上高:6211億3400万円(2019年度)
従業員数:16,860名(連結子会社を含む/2020年4月1日現在)
https://cweb.canon.jp/corporate/
世界有数の企業であるキヤノングループの会社です。
売上高構成の約半分が企業や官公庁に対するSIer事業(ビジネスソリューション)、その他一般向けのキヤノン製品を扱う「イメージングシステム」、一般向けの「ITソリューション」で構成されています。
イメージング機器だけではなく、幅広い業種でSI事業を行っています。
4位:野村総合研究所(NRI)
売上高:5012億4300万円(2019年度)
従業員数:12,578人(NRIグループ全体/2019年3月31日現在)
4位は野村総合研究所です。
コンサルティング業務に強く、高い営業利益率を誇ります。
SI事業としては金融業界(銀行、証券、保険)を得意とし、国内有数の金融関係の企業を顧客としています。
5位:伊藤忠テクノソリューションズ
売上高:4870億円(2019年度)
従業員数:9,085名(CTCグループ)
システムインテグレーターとして、幅広い業種のITシステムの構築を行っています。
インフラ系にも強く幅広いソリューションを展開しています。
SIer/SES/自社開発の違い
SIerと関連して出てくる用語にSESや自社開発などがあります。
前述の通り、SIerとはシステムインテグレーター(System Integrator)の略であり、システム開発会社を指します。
またSESは契約形態、自社開発は仕事の種類を指します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
SES
SESとはSystem Engineering Service(システム・エンジニアリング・サービス)の略であり、契約形態の1種です。
システム開発会社が他社から依頼されて開発業務を行う場合、その契約形態には以下のような種類があります。
なお、開発を依頼した会社をクライアント、依頼されたシステム開発会社をベンダーと表記しています。
SES
準委任契約とも呼ばれます。
指揮命令(仕事を指示する役割)はベンダー側にあります。
契約内容は業務を行うことであり、成果物に対する責任はありません。
SESは一人あたり月額いくらで単価を決めて契約することが一般的です。
なお、準委任契約という用語は委任契約に準ずるというところからきています。
委任契約が法律行為を行う契約なのに対し、準委任契約は法律行為を扱わない、という意味になります。
請負
指揮命令はベンダー側にあります。
またSESと違い、成果物に対する完成責任があります。
請負は案件(成果物)に対して金額を決めて契約することが一般的で、案件を何人で行うかはベンダー側の裁量となります。
派遣
SESと似ていますが指揮命令がクライアント側にあります。
派遣については2020年の派遣法改正で注目を集めました。
同改正では「同一労働同一賃金」という制度が軸となっています。
これは同じ仕事を行っているのであれば正社員であっても派遣であっても賃金に差をつけてはいけないという内容です。
本来は非正規雇用者を保護する目的でしたが、賃金の高騰を嫌がる派遣先が契約を打ち切るという問題も発生しています。
日本の契約形態の大部分がSESで、次に多いのが請負です。
SESはややネガティブなイメージが付いています。
これは人に対して単価が設定されている点と、成果物に対する責任が無いことが原因と思われます。
ベンダーは人を出すことを目的とするあまり、仕事内容や業種よりも単価を優先してしまいがちです。
またエンジニアも業務を遂行すれば良いため、学習やスキルアップに対するモチベーションが低くなってしまう可能性があります。
しかしエンジニアの価値を決めるのは本人次第です。
まずはSESを経験してからキャリアアップを実現したエンジニアは大勢います。
どのような環境であっても学ぶ機会を見つけ、前向きに業務を行うことが大切です。
またSESの中にもブラックでない会社はあります。
募集要項や会社説明だけの情報にとらわれず、自分に合った会社を見極めましょう。
現役のエンジニアなどIT業界に詳しい人から話を聞く場や機会を設けるといいです。
自社開発
自社で運営するサービスの開発を、社員のエンジニアで行うのが自社開発です。
自社開発は業務領域や必要なスキルがはっきりとしているため、SESと比較して就職先として人気があります。
その人気さから、一定のスキルを持った人材も多数応募するため、未経験からの就職難易度は高いです。
実は自社開発はシステム開発会社でも多く行われています。
これはサービスが起動にのった場合、SESと比較してより多くの利益確保が期待できるからです。
システム開発会社の場合、SESや請負を本業としながら、投資として自社サービスの開発を行うという形態がよく見られます。
自社開発を行っている会社を就職先として選定する場合、業務領域や必要なスキルが自分のやりたいことに合っているかを必ず確認するようにしましょう。
またスタートアップ企業などの場合、即戦力として求められ労働時間が長い可能性もあります。
イメージだけで判断せず、会社の方針や労働環境も踏まえた上で判断するようにしましょう。
エンジニア未経験者のキャリアステップ
次にエンジニア未経験者の一般的なキャリアステップについて確認しましょう。
プログラミングの学習
全くの未経験では就職活動がスムーズに進まない可能性があります。
独学でも良いのでプログラミングの学習は行っておきましょう。
またシステム開発ではパソコンを使用します。
パソコンの一般的な使い方についても慣れておきましょう。
具体的な学習方法や就職活動に必要なポートフォリオなどについては後述します。
就職先
エンジニア未経験者としては、まず業界の常識を身につける必要があります。
これはシステム開発全体の工程やチームとしての業務の進め方、業界用語など様々です。
業界の常識を身につけるにはSIerに入社することをおすすめします。
自社開発にこだわるよりは、自身がどのようなキャリアを目指したいのか決め、その考え方に近い会社を選ぶようにしましょう。
入社してから3年程度が今後の成長を決める大切な時期です。
むやみに転職を考えるのではなく継続して勤務することを前提とし、時間をかけて業界の常識や自身のキャリア形成を行うようにしましょう。
エンジニアとしてのステップアップ
就職して最初はテストや簡単なプログラミングなどの業務が主となります。
ここでポイントは、その時行っている業務だけでなく、システム開発の工程全体がどうなっているか、常に意識を持つことです。業務としてのシステム開発はほとんどチームで行われます。
周りの先輩がどのような業務を行っているか、その業務を行うためにはどのようなスキル形成をすればよいか、常に考えるようにしましょう。
エンジニアとして成長するにつれ、高度なプログラミングや設計などの上流工程も任されるようになります。
さらにキャリアを積むとシステム開発プロジェクトを管理する責任者や、その道のスペシャリストなども目指せることでしょう。
関連する資格
SIer企業はITに関する事業を主体にしています。
システムエンジニアや営業、総務など様々な職種がありますが、ITに関する基礎知識があると就職活動の際に有利でしょう。
おすすめは以下の資格です。
ITパスポート(iパス)
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施している国家資格で、ITを利活用するすべての社会人・学生が備えておくべき基礎的な知識を確認するという位置づけで実施されています。
システムエンジニアはもとより、営業職や総務職にとっても役に立つ資格です。
基本情報技術者試験
こちらもIPAが実施している国家資格です。
システムエンジニアとしてSIerへの就職を目指すのであれば必須とも言える資格です。
システムエンジニアの登竜門と言われる試験で、ITパスポートよりも難易度は高いのですが、履歴書に記載しておくと、実力をアピールできる資格です。
応用情報技術者試験
こちらもIPAが実施している国家資格で、基本情報技術者試験の1つ上のレベルという位置づけです。
とはいえ難易度は相当高く、取得が必須という資格ではありません。
合格すると、相当実力としてアピールできます。
未経験から転職する際のステップ
未経験からSIer企業に転職する場合、特にシステムエンジニアをお考えであれば、まずは基礎スキルを一通り身につけることが重要です。
実際にシステムエンジニアとしてSIerに入社すると、実際の現場に配属された後、OJT(On the Job Training)といって仕事の中で実務のスキルを身に付ける機会があります。
その準備段階として基礎スキルを身につけ、最低限「何を言っているか」が分かるレベルにはなっておくようにしましょう。
プログラミング力
どんなプログラミング言語でも良いので、書籍やプログラミングスクールで基本をひととおり学習しておきましょう。
成果物として簡単なアプリやWebサイトなどを作っておくといいですね。自身の履歴書(ポートフォリオ)を作るときに役に立ちます。
ITに関する基礎知識
前述したITパスポートや基本情報技術者試験の取得に向けて学習することで身につけることができます。
こちらも資格を取得しておくと、ポートフォリオに記載することができるので役に立ちます。
論理的な思考能力
SEの仕事は、ものごとを理解して設計書やプログラムにアウトプットすることになります。
書籍などを読み、論理的な思考能力を高めることを常に意識しておくと良いでしょう。
基礎スキルを身につけるとともに、実際の就職活動も行っていきましょう。
まずはシステムエンジニアが何を行っているのか情報を集め、自分の目指すシステムエンジニア像をイメージすることが重要です。
会社によって、プログラミングに強い会社、設計しか行わない会社など様々です。
入社後のミスマッチが起こらないよう、自分の目指す方向に合った会社を選びましょう。
ポートフォリオの作成
自分の経歴(履歴書)に強みやアピールポイント(実績、資格)などをまとめたものをポートフォリオといいます。
主にデザイナーの就職活動で使われることが多かったのですが、エンジニア業界でも良く使われるようになっています。
特に未経験からSEになる場合、SEになりたいという意気込みと、基礎スキルの学習成果を書いておきましょう。
アプリやWebサイトなどのオリジナル作品、またはITパスポートや基本情報技術者などの資格を取得していると、とても良いアピールになります。
企業の情報収集
SIer企業では、自社のホームページで業務内容や得意とする業種など、多くの情報を公開しています。
企業で活躍しているSEのインタビューなどが掲載されている場合もありますので、参考にするといいでしょう。
その他、求人サイトやSNSなどでも企業の情報を収集しておきましょう。
ただし口コミ情報は個人の主観が多く入っている場合が多いので注意しましょう。
インターンへの参加
例えば ゼロワンインターン( https://01intern.com/ ) などのサービスを利用したり、企業に直接問い合わせるなどして、どんどん興味のある会社のインターンに参加しましょう。
中途採用向けのインターンを行っている会社やサービスもあります。
企業説明会への参加
リクナビ( https://job.rikunabi.com/2020/contents/event/ )や自治体など、多くの企業説明会が開催されています。
企業のリアルな情報を得ることができるので、ぜひとも参加したいところです。
申し込みが必要な場合もありますのでWebサイトをこまめにチェックしておきましょう。
エンジニアになるための学習方法
学習サービス
Progate
プログラミング言語の基本に特化した、オンラインで無料から使用できる学習サービスです。
今までプログラミングを学んだことのない人でも始められる各言語のカリキュラムが揃っています。
有料会員では実践レベルのものまですべてのコースを受講可能です。
Udemy
プログラミングやデザインなどの仕事に関する各種スキルを動画で学ぶサービスです。
各コースでは講師が用意した小テストで復習したり、資料ファイルをダウンロードしたりすることができます。
コースは有料のものと無料のものがあります。
Codecademy
HTMS/CSSでのWeb制作や各種プログラミング言語をオンラインで無料で学べるサービスです。
英語サイトになります。
基礎から順番に学習できるカリキュラムなので初めてその言語に触れる場合でも問題なく進行できます。
各カテゴリごとに分からないところを他のユーザーに質問できるシステムも存在します。
スクール
TechAcademy Pro
現役エンジニアのパーソナルメンターが学習から転職までをサポートするサービスです。
オンラインの環境があればどこでも受講可能で、パーソナルメンターにはカリキュラム内で分からないところを質問したり、キャリアについて相談することができます。
未経験からエンジニアを目指したいけれども、何から始めたらいいのか分からないという方におすすめです。
リナックスアカデミー
東京と横浜に校舎のある通学制スクールです。
Linux・ネットワークの講座とJavaプログラミングの講座があります。少人数クラス担任制による、実務の流れに合わせた授業の進行が特徴です。
そのため実際の業務に直結した本格的な技術と知識を集中して習得したい方におすすめです。
KENスクール
30年の実績のある通学制スクールです。
WebやDTPのデザインコース、プログラミングコース、ネットワークなどのコースが存在します。
専門のキャリアカウンセラーによるIT未経験者からの就職・転職にも注力しているため、初めて学習する方でも挑戦しやすい環境となっています。
この記事を監修してくれた方
太田和樹(おおたかずき) 普段は主に、Web系アプリケーション開発のプロジェクトマネージャーとプログラミング講師を行っている。守備範囲はフロントエンド、モバイル、サーバサイド、データサイエンティストと幅広い。その幅広い知見を生かして、複数の領域を組み合わせた新しい提案をするのが得意。 開発実績:画像認識技術を活用した駐車場混雑状況把握(実証実験)、音声認識を活用したヘルプデスク支援システム、Pepperを遠隔操作するアプリの開発、大規模基幹系システムの開発・導入マネジメント 地方在住。仕事のほとんどをリモートオフィスで行う。通勤で消耗する代わりに趣味のDIYや家庭菜園、家族との時間を楽しんでいる。 |
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