RPAとは?AIとの違いや導入メリット・手順を解説【初心者向け】
初心者向けにRPAについて解説しています。RPA(Robotic Process Automation)はロボットによる業務自動化の仕組みです。RPAを導入することでどのようなメリットがあるか、EPAやCAとの違いについても見ていきましょう。
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RPAについて解説します。昨今の労働人口不足を解消するためには、単純作業の効率化や自動化が必須の経営課題となってきました。それを解決する方法の1つがRPAの導入になります。
この記事では概要や導入メリット・手順について詳しく解説していきます。
なお本記事は、TechAcademyの法人向けIT・プログラミング研修での実績をもとに紹介しています。
今回は、ツール系に関する内容だね!
どういう内容でしょうか?
RPAについて詳しく説明していくね!
お願いします!
目次
※免責事項
この記事は2019年8月に更新された記事のため情報が古くなっている場合がございます。
RPAとは
RPAは「Robotic Process Automation」の頭文字で、ロボットによる業務作業の自動化を行う仕組みです。
ロボットとは言ってもハードウェアとしてのロボットを導入する訳ではありません。現在のほとんどの業務はパソコン上で行われており、RPAもまた、パソコンにロボットのように動作するソフトウェアをインストールして、業務作業の自動化を行います。
これまでも業務システムの導入などによる「業務効率化」は行われてきました。業務効率化とRPAは何が違うのでしょうか。それはRPAがユーザー部門が主体となり、現在の業務をそのまま自動化していくという点です。
IT部門が中心となって業務システムなどを導入するのではなく、ユーザー部門が現在の業務を自動化できるか検討し、試験的な導入を経て本格運用を始めていきます。導入にあたってプログラミング等の専門知識は必要ありません。むしろ業務に長けた利用者自らが導入・調整を行えるのがRPAの特徴です。
RPAを導入する大きな目的の一つは人手不足の解消です。目下、労働力人口は6年連続して増加しており(※1)、今後数年は安定した労働力が見込まれています。しかし2016年から日本は人口減少社会に入っています。近い将来、人口減少がより深刻な人手不足を引き起こすことは容易に想像ができます。それらの問題への解決策としてRPAは近年注目を集めています。
※1:労働力調査(総務省統計局)より
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf
さて、RPAはロボットが実現できる範囲ごとに、段階的にレベルが設定されています。ここでRPAとさらに上位のレベルであるEPA、CAについて確認しておきましょう。
RPA(Robotic Process Automation)
現在主流の業務自動化です。現段階で実現できているのはRPAまでとなります。定型業務、すなわち明確なルールで流れが決まった単純作業の自動化を行います。
向いている業務:伝票入力、データの集計、観測値のチェック
EPA(Enhanced Process Automation)
RPAが定型業務の自動化を行うのに対し、より進化したEPAでは非定型業務の自動化が可能となります。非定型業務とは状況に応じた判断が必要な業務という意味で、AI技術(機械学習)を使った高度な自動化が求められます。
向いている業務:窓口対応、コールセンター
CA(Cognitive Automation)
Cognitiveとは「認知」という意味です。コンピュータが状況を理解し自律的に意思決定を行うレベルがCAです。EPAよりもさらに高度なAI技術を活用し、ほぼ人間の代わりとして汎用的な業務をこなせるようになります。
向いている業務:秘書、営業業務(提案活動、関連書類の作成等)
AIとの違い
さて、RPAとAIの違いは何でしょうか。AI(Artificial Intelligence)とはより広い意味でのコンピュータによる知能の実現、自動化を意味します。
AIの中核となる技術を「機械学習」と呼びます。機械学習は既存のデータから将来を予測する仕組みです。既存のデータと正解のペアを大量に学習させることで、未知のデータだけを与えたときに正解を予測します。
RPAは機械学習を使わなくても実現できますが、使ったほうがより高度な処理が可能となります。例えば人間が手書きした伝票を入力するRPAを考えてみましょう。機械学習を使っていろんな手書きの数字を学習させておくことで、未知の手書き数字に対しても対応することが可能となります。
このようにAIはRPAを補完する位置づけです。またEPAやCAのレベルではAIの導入なくしては成立しません。具体的にはEPAを実現するには機械学習の1つであるディープラーニングが必要です。さらにCAになると、AIが人間を超える、いわゆるシンギュラリティが起きないと実現が難しいのではないかと言われています。
RPAを導入するメリット
RPAを導入する目的は、冒頭にも述べたように人手不足の解消です。大量の定型業務がある金融機関や自治体などでは、単純作業をロボットに置き換えることで、大きな効果が期待できるでしょう。
具体的にはRPAを導入することで、以下のようなメリットが得られると想定されます。
生産性や売上の向上
ロボットは人間と異なりミスをすることが無く、長時間の作業も可能です。人間が毎日8時間作業するより、ロボットを24時間稼働させた方が単位時間あたりの生産性は向上します。外部から依頼されている作業であれば、長時間ロボットを稼働させることで売上の向上も期待できます
コスト削減
RPAにかかるコストは導入費用と維持費(保守費等)です。一定の作業量が継続的に発生することが想定される場合、中長期的なコスト削減が期待できます
非定型業務へ人員をシフト
単純作業をRPAで行うことで、人員をより難易度の高い非定型業務にシフトさせることが可能となります
RPAを導入する上で気をつけたいポイント
それではRPAを検討するにあたり、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。RPAの導入を成功させるには以下のような点がポイントとなります。
一定量の定型業務があるか
一番のポイントです。定型業務が少ない場合、RPAを導入しても費用対効果が得られません。これについては、RPAの導入コストと、削減できるコスト(または期待できる売上の向上)を比較して導入を検討すると良いでしょう。
RPAの導入コストには導入にかかる人件費(研修費用、導入作業に要する時間)も含める点に注意が必要です。
業務手順が定型化できるかどうか
業務手順の中に曖昧な判断や処理が入っているとロボットの導入がスムーズに行えません。普段何気なく行っている作業について、非定型業務が含まれていないか細かく確認しておきましょう。
この点においてもRPAはユーザー部門主体で導入することが意味を持ちます。業務に長けた知見を生かし、ひとつひとつの作業を分解して定型業務として切り出せるかが、RPA成功のカギとなります。
実際に導入する流れ
最後に、実際にRPAを導入する流れについて確認しておきましょう。
1.研修会やセミナーなどへの参加
はじめてRPAを導入する場合、研修会やセミナーへの参加がおすすめです。導入する上での注意点やコツなど、多くの知見を得ることができます。できればRPA製品の選定も兼ね、複数の研修会やセミナーに参加すると良いでしょう。
参加後は、自社で研修報告会を行い、他の社員へのフィードバックを行うとRPA導入の機運向上にもなり効果的です。
2.RPA製品の選択
RPAには有償無償含め多くの製品があります。ここでは製品名を挙げるに留めます。製品によってはプログラミングのような作業が必要なものもあります。担当者のスキルに合わせて選択するようにしましょう。
また導入形態により「サーバー型」と「デスクトップ型」に分けられます。キーワードとして覚えておきましょう。
有償製品
- WinActor
- WinAutomation
- AutomationAnywhere
- UiPath(Community Editionは無償)
- Blue Prism
など
無償商品
- SikuliX
- UiPath(Community Edition)
- IFTTT
- Zapier
- WUSC
- Automator
など
3.構築体制、運用体制の確認
導入前から体制を決めておくとその後の作業がスムーズになります。RPAはユーザー部門が主体となって行うため、責任者や導入担当者を自部門に置き、自部門だけでは補いきれない部分を、業者や他部門に依頼するようにすると良いでしょう。
4.部分的な試行
製品と体制が決まったら、具体的に対象業務にRPAを導入していきます。導入の際は一度に置き換えるのではなく、人員による作業も残しつつ並行してRPAを導入すると良いでしょう。
部分的な試行を経ることで本格導入前に最適な運用形態を検討することができます。一定期間試行の上、問題点などを解決できたら本格導入に進みます。
5.本格導入
部分的な試行で運用形態を確立できたら対象部門への本格的な導入を行います。
6.導入後の運用保守、改善
RPAの利用を開始したら、スムーズに日々の業務が行えるよう、運用保守も行っていきます。導入形態にもよりますが、デスクトップ型の場合、パソコンのハードディスク(またはSSD)の空き容量は十分か、CPUやメモリに過大な負荷がかかっていないか定期的に確認するようにしましょう。アラートをメールで通知するようにするなど、運用保守自体もRPAで自動化するとさらにコストを削減できます。
運用保守だけでなく、RPAによる日々の実績を記録し、さらなる業務改善を検討するとより効果的です。RPAを導入したことで活用イメージが広がり、新たな業務自動化につなげられるかもしれません。
監修してくれたメンター
太田和樹(おおたかずき)
ITベンチャー企業のPM兼エンジニア 普段は主に、Web系アプリケーション開発のプロジェクトマネージャーとプログラミング講師を行っている。守備範囲はフロントエンド、モバイル、サーバサイド、データサイエンティストと幅広い。その幅広い知見を生かして、複数の領域を組み合わせた新しい提案をするのが得意。 開発実績:画像認識技術を活用した駐車場混雑状況把握(実証実験)、音声認識を活用したヘルプデスク支援システム、Pepperを遠隔操作するアプリの開発、大規模基幹系システムの開発・導入マネジメント。 地方在住。仕事のほとんどをリモートオフィスで行う。通勤で消耗する代わりに趣味のDIYや家庭菜園、家族との時間を楽しんでいる。 |
内容分かりやすくて良かったです!
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分かりました。ありがとうございます!
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