【アフリカ発!】100名の女子小中高生が、SDGsの課題解決を考える二日間に密着
2019年11月、日本オラクル株式会社本社にて、一般社団法人Waffle、NPO法人みんなのコード、STEAMED教育を推進するアフリカの非営利団体「iamtheCODE」の協働により、開催された約100名の女子小中高生のワークショップのレポートです。
テックアカデミーマガジンは受講者数No.1のプログラミングスクール「テックアカデミー」が運営。初心者向けにプロが解説した記事を公開中。現役エンジニアの方はこちらをご覧ください。 ※ アンケートモニター提供元:GMOリサーチ株式会社 調査期間:2021年8月12日~8月16日 調査対象:2020年8月以降にプログラミングスクールを受講した18~80歳の男女1,000名 調査手法:インターネット調査
2019年11月、日本オラクル株式会社本社にて、一般社団法人Waffle、NPO法人みんなのコード、STEAMED(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics, Entrepreneurship, and Design)教育を推進するアフリカの非営利団体「iamtheCODE(アイアム・ザ・コード)」の協働により、約100名の女子小中高生のワークショップが開催されました。
キラメックスは今回、スポンサーとしてこのイベントをサポートするほか、最終発表の審査員を務めさせていただきました。
現在、情報化社会の中で日本のみならずグローバルでIT人材の不足が喫緊の課題となっています。
その中でも、特に女性エンジニアの数は10%程度と言われており、進路決定に大きな影響を及ぼす小中高生の間に、エンジニアという職業に興味を持ってもらうための取り組みが必要とされ、世界各国で行われています。
日本においても、将来のエンジニア候補となりうる理系学部を選択する、女子学生の数は、まだまだ少なく、テクノロジーの楽しさや、将来のロールモデルに触れる機会が少ないのが現状です。
今回は、それらの機会を提供する目的で、2030年までに100万人の女の子をエンジニアに育成するための世界的なムーブメントを行なっているアフリカのSTEAM系NPO「iamtheCode」、IT業界のジェンダーギャップを埋めるために、女子中高生へのプログラミングを推進活動を実施している一般社団法人Waffle、日本国内においてプログラミング教育の推進・啓発活動を実施しているNPO法人みんなのコードと協働でワークショップを開催しました。
持続可能な社会を世界レベルで実現するために国連で合意された世界共通の目標である「SDGs(Sustainable Development Goals:エスディージーズ)」をテーマに、10代の女性に対して、課題解決の手段としてのプログラミングを体験していただきました。
一日目の内容~驚きが連続のアフリカ式講義~
一日目は、SDGsの理解を深め、チーム毎にSDGsを解決するアイデアを出すことを行いました。
講師は、「iamtheCODE」代表で、西アフリカのセネガル出身のMariémeさん。今回のワークショップのために、イギリスから来日してくださいました。
通訳のメンターがいるものの、講義は全て英語で進んでいきます。
まずはSDGsの17項目の中から、自分が課題と感じる項目を解決するアイデアを紙に書いて5~6人のグループでシェアします。
全体的に、5番のジェンダー格差や、13番の気候変動に問題意識を持つ子ども達が多い印象でした。
次に参加者全員を大きく4つのグループに分け、「KANO」という簡易コンピューター製作キットを使ったワークに入ります。
4グループが一斉に組み立てはじめ、いち早く完成を目指すという内容です。
キット一つに対し、20人前後で組み立てるので、指示を出す人、組み立てる人、少し離れたところから作業を見る人が出てきます。
途中、メンターの「全員で取り組めるにはどうしたら良いか?」という声掛けで、前で指示を出す人はかがんで後ろの人に見えるように工夫しながら、キットの組み立てを進めました。
そしていよいよ、SDGsをテーマにしたプロジェクトがはじまります。
5つのチームに分けられ、メンターはそれぞれのチームのサポートを行います。
ここで衝撃的なのは、子ども達がメンターを選ぶということ。
欲しいものは自分で手に入れなければならないという自主性が問われます。
プロジェクトの条件は一つ、SDGsの課題解決につながるコンピューターを作ること。
Mariémeさんは、敢えて条件を曖昧にすることで、子ども達に「考えさせる」ことを徹底します。
「人生を生きていく上で、思い通りにいかないことがたくさんあります。その状態からどう立て直していくのかを考えさせるために、あえて具体的なオーダーを出さず、混乱させました。プロダクトを作っていく上で、コードをJavaで書いてと言われたのにC++にしてとオーダーを変えられることもあるでしょう。柔軟性をもって対応していくことが重要です。」
とメッセージを伝えました。
Mariémeさんの狙い通り、チームで話し合いを進めていく中で、そもそも何をつくれば良いのか悩んだり、なかなか意見が一つにまとまらないチームが出てきます。
しかし、主体はあくまでも子ども達。
教えすぎず、適度な距離感でメンターはフォローしていきます。
二日目の内容~100人の子ども達による熱いプレゼン~
二日目はいよいよ、チームでまとまったアイデアを発表する日です。
ワークの前に皆で大きな輪を作り、床に座りました。
部屋を薄暗くし、数分間目を瞑り、瞑想。
Mariémeさんは
「このようなチャンスを掴めない女性は世界にたくさんいます。だからこそ、あなたはもっと自分を愛するべきだ。」
と皆に伝えました。
続けて、皆の心に語りかけるように、
「私たちは、今日から、世界を変えるプロダクトを作ります。あなたたちは、美しく、賢く、強い女性です。あなたたちは世界を変えることができる。自分に、友達に、世界に、パートナーシップを持って、取り組んでいきましょう。」
と、皆の背中を押す、心強いメッセージを送りました。
目を開け、立ち、輪になったまま皆で手をつないで、「私たちは世界を変える」とコミットしました。
皆の目の色が変わるのを感じました。
マインドセットが完了し、始まったワークショップでは、どのチームも昨日より前のめりでディスカッションしており、よりチームが団結していくのを感じました。
一日目の話し合いで、出たアイデアを形にするべく、家で新たな情報を調べてきた子や、チームメイトで連絡先を交換しあい、家でもやりとりを行っていた子もいたようです。
子ども達は、午後の発表までにアイデアをまとめ、プレゼンの準備を進めます。
チームのメンバーとの交流も深まり、一日目より圧倒的にコミュニケーションの量が増えていました。
途中、メンターから、「誰が何に困っていて、どう変えてあげたいのかを考えよう」というアドバイスがあるチームもありました。
皆の意見をまとめる子、その意見を紙やスライドにまとめる子、プレゼンの練習をする子、一日目に組み立てた「KANO」を使ってMariémeさんからコーディングを教えてもらう子…皆それぞれの力を精一杯振り絞って、時間いっぱいまで準備を進めました。
そして、ついに発表の時間となりました。
最後の発表では、キラメックスから保屋野が審査員として参加しました。
まとまりにくい10名程の大人数チームで、初対面の子たちがたった二日間で考えたとは思えないほどの、素晴らしいアイディアとプレゼンばかりでした。
どのチームも完成度が高く、SDGsに真剣に向き合う姿勢がとても素晴らしかったです。
審査は非常に難航し、審査員同士でも意見が割れ、一つのチームを選出することができるのか。
と思うほど議論が白熱しました。
時間いっぱいまで考え、審査員の中で、優勝チームを決めて発表しました。
審査の結果優勝したチームは、これからMariémeさんと一緒に、アイデアを形にすべく「iamtheCODE」のアンバサダーとして活動することが約束されました。
そして、今回のワークショップに参加した子ども全員に、無料でプログラミング教育が受けられる国際的プログラム「iDEA」が紹介されました。
ワークショップに参加した子どもたちの感想
今回のワークショップに参加したのは、小中高生の約100名の女子生徒です。
この二日間のワークショップを通して、何を感じたのでしょうか。
「クラスの子に、SDGsや環境問題のことを話しても理解されないことが多い。でも、このワークショップでは、思っていることをどんどん話すことができた。」
「学校以外の場で、同じような志を持った仲間に出会うことができた。」
「周りに何と言われようと、自分が正しいと思ったことを最後までやり遂げたいと思った。そしてその実現のために、学び続けることが大事だと強く感じた。」
等たくさんの意見がありました。
今回のイベントを通して
イベント全体を通じて「女性はもっと活躍できるし、もっと輝くことができる」という、女性の可能性を子どもたちに全力で伝えている印象を持ちました。
Waffle代表の田中さんは、
「皆にはこれからの社会におけるリーダーになってほしい。」と、想いを子どもたちに伝えました。
また、“実現したいことや、イメージを形にすることのコツ”についてもお話され、
「同じ課題や興味を持っている子、今後何か一緒にできそうな子を見つけて、仲間をたくさん作って欲しいです。」
と、子どもたちの未来にエールを送らていました。
Mariémeさんは、生きていく上で直面する問題や不条理について、ワークショップで体感させ、子どもたちをトレーニングしているように感じました。
「コードを書く上でも、今後社会に出て生きていく上でも、うまくいかないことは多いです。この中で、将来海外で働きたいと思っている子も多いと思います。でも海外では日本式で話をしてくれないし、黙っているところに『あなたはどう?』なんて自分の意見を聞いてくれることも少ないです。違う言語で、いきなり『これを作ってください』と言われることも多いです。だからこそ柔軟に考えて、柔軟に生きてください。」
等、力強いメッセージを送られていました。
この度は、メッセージ性の強い素晴らしいイベントに参加させていただき、嬉しく思います。
皆で夢中で駆け抜けて、長いようであっという間の二日間でした。
どれもが、子どもたちの未来を本気で考え、伝えたメッセージであったと思います。
そのメッセージを受けて、大人の私も勇気づけられ、心が熱くなるのを感じました。
また、これからの未来を作っていく子どもたちの頼もしい姿を目の当たりにし、私も負けていられない!と気合いを注入してもらいました。
これからの皆さんの成長が楽しみでしかたありません。
本当に素敵な機会をありがとうございました。
TechAcademyジュニアでは、子どもたちが21世紀の新しい社会をより豊かに生きるために必要となる力を育むために、プログラミング教育を提供しています。
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