【チケット売買アプリを事例に!】Googleへのアプリインデックスは努力に値するのか
スマホアプリをGoogle検索にインデックスさせることを考えている人向けにApp indexingを実装した例を紹介しています。アプリストアだけでなく、Web上での検索からも集客したいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。
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本稿は、Smashing Magazineのブログ記事を了解を得て日本語翻訳し掲載した記事になります。
本記事は、Vivid Seats(チケット売買サービス)のSEOディレクターであるBryson Meunier氏によって投稿されました。
Googleの検索結果にアプリが表示されるように、App indexingを実装することにリソースを投資するのは、アプリのトラフィックの観点から効果的でしょうか。
この記事では、私の会社での活用事例を通して「App indexingを実装することは努力に値するのか」についてその答えを考えます。結果は驚くべきものです。
近年、App indexingはSEOにおいて最もホットな話題の1つですが、それにはいくつかの理由があります。
Googleは約2年以上も前から、アプリをインデックスするこの技術をすべての開発者のために公開しています。
しかし、実際にApp indexingを実装しているアプリは全体の約30%であり、Webサイトが追加的なトラフィックをアプリにもたらすことができる潜在的な可能性は大きいとしている調査もあります。
さらにGoogleは、WebサイトがApp Indexingを利用していることと、アプリがApp IndexingのAPIを実装していることついて、検索順位を上げる要因として考慮するとしています。そのため、App IndexingをWebサイトに実装することは、検索のトラフィックを増やすのに効果的だと思われます。
しかし、私の会社で実践してみたところ、効果はありませんでした。
App Indexingを実装したとき、たしかにGoogle検索経由のアプリのトラフックは増加しましたが、Web検索からのトラフィックと比べると微々たるもので、ほとんど努力に値しませんでした。
私の会社における活用例と、それが全体のトラフィックへもたらした影響について、詳細をまとめています。
目次
App Indexingとは
App Indexingとは、関連する検索結果と一緒に、アプリがGoogle 検索に表示されるようにする仕組みのことです。
あなたのアプリで(1) HTTP URL をサポートし、(2)App Indexing SDK を追加すると、GoogleがそのWebページをクロールしてインデックス登録します。その結果、ユーザーは関連するキーワードで検索したときにその検索結果から、アプリをインストール、実行できるようになります。
ユーザーがアプリをインストール済みの場合、関連する検索結果の中に、「アプリを実行する」ボタンが表示されます。
検索者がアプリをインストールしていない場合には、関連する検索結果の中に、「インストール」ボタンが表示されます。
理論的には、この仕組みは素晴らしいものです。ユーザーはWebサイトやアプリを好むかどうかにかかわらず、ソースが明らかで信頼できるコンテンツを見つけることができます。
また、アプリの開発者やマーケティング担当者にとっても、アプリストア以外で、新規ユーザーに紹介することができるため、潜在的に利用者数やダウンロード数を増やす可能性を秘めているといえるのです。
しかし、「理論的に」優れていることは、必ずしもApp Indexingが実際にトラフィックを増やす効果があることを意味しません。
「どのように」また「なぜ」App Indexingを実装するかについて、私は多くの情報を調べましたが、App Indexingがトラフィックの観点からメリットがあるという実例は、見つけることができませんでした(Googleは他にもいくつかのメリットを強調していますが)。
そのためマーケティング担当者、開発者が、アプリをインデックスさせることによってトラフィックを実際にどれだけ増やすことができるか把握できるように、自分の会社Vivid Seatsのアプリで試してみました。
Vivid Seatsの事例を考えるにあたり考慮すべき点があります。Bloombergによると、Vivid Seatsは、StubHubとTicketmasterに次いで世界第3位の、最大級のチケット市場です。
そのため、元々トラフィックが多いのです。私たちのケースほど多くのトラフィックがないWebサイトや、同等の規模のWebサイトを持っていないアプリの場合は、私たちの結果とは異なるものになる可能性もあります。
また、今回のVivid Seatsの事例は、Androidのみを対象としたものです。
ベータ版のApp IndexingのiOSについては、まだGoogleのSearch Consoleを利用していないため、iOSアプリの場合にもインデックスや検索順位について同様の結果となるかは不明です。
実装した背景
Vivid Seatsは2015年9月から、Androidアプリがインデックスされています。当初、Webページと関連付けたアプリのURIをGoogleの検索結果に見つけるのは困難でした。
2016年2月に入っても、インデックスされたアプリのURIは約18で、そして「URI フォーマットはサポートされていません。」というエラー表示つきの35,000以上のページが見つかります。
このエラー表示の原因は、当初のWebサイトのものとは異なるURIをアプリケーションに関連付けたため、Googleは関連付けたページを見つけることが難しかったということもあるかもしれません。
実際に行った解決策
最初に、この問題に関するGoogleのヘルプセクションの指示通り、関連付けるアプリのURIを示す「rel=”alternate”」を含むlink要素をWebページに追加しました。
例えば、Vivid Seatsのアデル(Adele)のチケットページ――「http://www.vividseats.com/concerts/adele-tickets.html」――の場合には、次の「rel=”alternate”」を含むlink要素を追加することになりますが、これは関連付けるアプリのURIを示すものであり、モバイル端末のユーザーエージェントに動的に配信されるのです。
<link rel="alternate" href="android-app://com.vividseats.android/vividseats/performer/15313">
アデル(Adele)のチケットページのモバイルビュー(画像:Fawaad Ahmad)
この問題の解決策としてGoogleはヘルプセクションでこのソリューションを推奨していたため、最初はこれで解決するだろうと思っていました。しかし、残念ながら実装して数週間が経過しても、GoogleによってインデックスされたアプリのURIの数は増えませんでした。
また、Googleのクローラは私たちのWebサイトの多くのページは関連付けされたアプリビューをすでに持っていると判断したためか(その時点では実際にはそうではなかったのですが)、クロールエラーも続きました。
そこで私たちは4月に、iOSアプリにおいてユニバーサルリンク、AndroidアプリにおいてHTTP URLをサポートしました。
これによりエラーの数を、最多時の約40,000から、現在の約85まで減らすことができました。その結果、インデックスされたアプリのURIの数は、2月の時点における18から、現在の約35,000にまで増えました。
これを実現するために、Firebase App Indexingのドキュメントで説明されている手順を実行しました。
- まずWebサイトの各タイプのリンクが、Androidアプリと対応する、ビューとURIを持っていることを確かめました。これを行うため、以前はアプリには含まれていなかったページタイプ用のテンプレートを設計し、Androidアプリでそれらを構築しました。各ページの固有の情報は、RESTful APIのエンドポイントから動的に提供されるため、テンプレートを設計してコード化するだけで済み、個々のページをコード化する必要はありません。
- 私たちのWebサイトはSSLを実装していなかったため、GoogleのDigital Asset Linksによる要求に従い、Search ConsoleでWebサイトの所有権を確認しました。
- インテントフィルタをAndroidのマニフェストファイルに追加しました。
- getIntent( )を呼び出し、onCreate( )のコードを実行して、アプリをPlayストアにデプロイしました。
結果
予想通り、インデックスされたアプリURIの数は、12月の18から、9月には約40,000まで指数関数的に増加しました。
全体的に見ると、クリック数は919%増加しました。ブランド名を含まないクエリ(例:”Packersのチケット”など、Vivid Seatsというブランド名を含まないその他情報へのクエリ)からのクリック数は、5,500%増加しました。
またこれも予想通りですが、インプレッション数の増加(具体的には、ブランド名を含まないクエリによる増加)の結果として、クリック率(CTR)は低下しました。
アプリのトラフィック(Search Consoleで「クリック」と定義されています)の数は、インデックスされたアプリのURIが増加した結果、Webサイトのトラフィックに比例して指数関数的に増加しましたが、アプリのトラフィックには現在のところ効果は見られません。
約40,000のアプリのURIが追加的にインデックスされても、現在、検索からのトラフィックの99.82%がWebページに送られており、アプリのURIに送られるのはわずか0.23%です。
数があまりにも小さい理由はいくつか考えられます。
- 今回の調査では実証はしていませんが、AndroidのモバイルトラフィックはiOSのモバイルトラフィックよりも、割合が低いという可能性もあります。
- また私たちの場合、インデックスされたアプリのページは、インデックスされたWebページよりも数が少ないです――実際に3倍以上の差があります。今回アプリのURIが多くインデックスされたことによって、トラフィックは指数関数的に増加したため、今後、最終的にGoogleがアプリのURIをすべてインデックスしたときには、トラフィックがもっと増える可能性もあるかもしれません。
- しかし最大の理由は、アプリのリスティング広告とWebのリスティング広告では、クリック率(CTR)が大幅に異なることだと思われます。ブランド名(Vivid Seats)は、Webにおけるクリック率では全体の約40%を占めていて、通常は平均掲載順位も1位なのですが、アプリにおけるクリック率では1%にも満たないのです。このことは、アプリのボタンはGoogle検索結果の中でナビゲーションとしては目立つものの、ほとんどの人はまだWebサイト上からクリックすることをより好むという傾向を示しています。
最後の理由については、App Indexingはまだ新しいテクノロジーであり、検索者がまだレイアウトに慣れていないことが原因かもしれません。将来的にはこの傾向は逆転することも予想できます。
しかし現状としては、アプリのページをインデックスさせようと考えているすべての人はこの点を理解しておくことが重要です。
検索結果に表示される大きくてカラフルなボタンが、クリック率とトラフィックを増加させる効果があると考えるのは魅力的なことですが、私たちの調査からはこれを実証する結果は得られませんでした。
実際の結果はその逆でした。
次の表に示すように、アプリのコンテンツにおけるクリック率は、Webにおける場合の半分以下です。
Androidアプリのページは、クリック率は1.55%で平均掲載順位は5.1です。一方、Webコンテンツは、クリック率は4.67%で平均掲載順位は7.6です。
アプリの一般的なクリック率(1.75%)は、Webのクリック率(4.69 %)よりも低くなっていますが、その内訳としてナビゲーションの(ブランド名の)検索語句によるもの(1.13%)は、その他情報のコンテンツによるもの(6.16%)よりクリック率が低いことが判明しました。
この内訳の関係はWebコンテンツのクリック率では、逆転しています。
ブランド名によるクエリからのトラフィックは、アプリのトラフィックの約56%を占めていて、Webのトラフィックでは約40%を占めています。
クエリの種類をさらに詳しく調べるために、2つのタイプに分類しました。
第1に、ブランド名のクエリ(vivid seats)またはブランド名を含まないその他の情報のクエリ(Packerのチケット)を含むナビゲーションクエリ、第2に、検索者がWebサイト(www.vividseats.com)またはアプリ(vivid seatsのアプリをダウンロード)を探していることを示すクエリです。
検索者がWebサイトまたはアプリを探していることを示すクエリでない場合には、そのクエリにブランド名が含まれているかどうかを確認し、Webサイトやアプリの嗜好について「特定されていません」と記録しました。
アプリ名を特定した検索トラフィックは、アプリのトラフィックでは約4%であるのに対して、Webのトラフィックでは1%未満です。
クエリの大多数は、検索者がアプリやWebサイトを特定しないで行った検索によるものであり、Webにおいて約99%、アプリにおいて約96%を占めています。
検索からアプリへのトラフィックにおいては、今のところ効果が見られません。しかし、ほとんどの開発者がアプリのコンテンツをインデックスさせる本当の理由は、ダウンロードを促進することにあります。
幸いなことに、Search Consoleを使用すると、検索からインストールされている状況を確認できます。
これはSearch Consoleのレポートには通常表示されません。表示するには、[検索分析(Search analytics)]→[検索の外観(Search appearance)]→[フィルタ検索の外観(Filter search appearance)]→[アプリのインストールボタン(Install app button)]をクリックします。
私たちがこれを実行したところ、過去90日間において検索のトラフィック総数の約0.03%が、検索からのアプリのインストールにつながったことがわかりました。
しかし、この過去90日間の総インストール数を、調査によって示されたインストール数と照らし合わせて考えると、Androidアプリのダウンロード総数の約2%は、検索結果からインストールしたユーザーによるものであることが明らかでした。
これは大きな効果をもたらすものではありませんが、これがなければ得られないような、検索からの多くのアプリのインストールを実現していることを考えると、実装に必要な努力に少しは値するでしょう。
結論
もしあなたのリソースに限りがあり、十分なトラフィックとインストール数をもたらすか疑問に思っている場合には、私たちの経験から述べると、代わりにWebコンテンツに集中した方が効果的です。
私たちの事例では、App Indexingによってトラフィックが919%増加した後でさえ、検索からのWebサイトへのトラフィックの99.8%以上をもたらしているのは、「Webコンテンツ」です。他にも重要度の高いプロジェクトを検討しているとしたら、これらを優先した方がいいでしょう。
しかし、もしあなたが所有しているのがアプリのみで、チームに十分なリソースがあるとしたら、App Indexingは他では得られないようなトラフィックをもたらす可能性があります。
そして長期的に考えれば、あなたのWebサイトやGoogle検索者にとってメリットとなるでしょう。
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