PoWとの違い!PoS(Proof of Stake)とは【仕組みや特徴を解説】
初心者向けにPoS(Proof of Stake)について解説しています。ビットコインを持っている人はPoWを聞いたことがあるかもしれませんが別物です。PoSのマイニングにおける原理や報酬の仕組みについて知っておきましょう。
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今回は、PoS(Proof of Stake)について解説します。
PoW(Proof of Work)を聞いたことはあっても、PoSは聞いたことがないという人も多いでしょう。一体どんな原理でマイニングが行われ報酬が決められているのか知っておきましょう。
今回は取引検証のひとつ、PoS(Proof of Stake)について解説するよ。
田島メンター!取引の検証というとPoWというのがありましたが、あれとはどう違うんですか〜?
PoSでは通貨の保有量がブロック生成に関わってくるんだ。PoWと比較しながら見ていこう。
お願いします!
PoSとは
PoSとは、PoW(Proof of Work) への代替案でProof of Stakeの略称です。
PoWとは、Proof-of-Workの略称で、日本語で言うと仕事により証明することを意味します。
ビットコインでは、マイニングという作業を行う事で、正しいブロックであることを証明を行うという事になります。
サイコロで考えるPoW
PoWについて、サイコロを投げるゲームで説明してみます。
複数人のプレイヤーが2つのサイコロを投げます。勝利条件は、サイコロの和が、特定数値以下であれば勝ちとします。
ここでサイコロを投げることをビットコインで言うマイニングと考えます。
サイコロの和をNonce(ノンス)と呼びます。
この勝利条件である特定数値をDifficulty Target(閾値)と呼びます。
参加者が1人の場合のDifficulty Targetは非常に高く、ある程度のNonceでも勝利できます。
しかし、参加者が1,000万人のように増えていくと、Difficulty Targetの値は低い数値になり、サイコロでNonceを出すことが非常に難しくなります。
マイニングとサイコロのPoW違い
サイコロでDifficulty Target(閾値)が低い場合は、全員同じ確率でサイコロのNonceを出す必要があり、同じ条件下でPoWの難易度が高いという状況になります。
マイニングでDifficulty Target(閾値)が低い際には、最新式のAsicマイニング機器を使用することで、PoWの難易度を自分だけ下げることが可能です。
つまり、マイニングにおけるPoWは、Asicマイニングが優遇されるということを意味しています。
PoSとPoWの違い
PoWは、Asicマイニングを行い、最初にブロックを生成する計算を完成させることができた人が報酬を受け取ります。
PoSは、コインの保有割合や、保有コイン数と保有年数による独自係数を元に、ブロック生成しやすくなります。
つまり、PoSは先行者利益が非常に高いということです。
PoSの特徴
先行者利益が高い
コインの保有割合や、保有年数によってマイニングの難易度が変わるということは、先行者利益が非常に高いです。
早く始めたほうが良いという意味にもなりますが、後から参入しづらいということも言えます。
処理速度が早い
PoWを採用しているビットコインの決済速度は10分から20分必要です。
これは、PoWを採用していることだけが理由ではありませんが、PoWでノードが一斉にブロック生成を競い、年々ブロック生成が難しくなってきていると言うことも原因です。
PoSは、2018年2月現在であれば、数秒で決済が可能です。
消費電力が少ない
PoSは、PoWに比べマイニングによる消費電力が少ないです。
これは、PoWがマイニング能力によって、正しいブロックを決定するのに対し、PoSがコインの保有数により決定するためです。
51%攻撃のリスクを減らす
PoSでは、コインの保有数により正しいブロックを決めるコンセンサスを行います。
コンセンサスとは合意という意味で、PoWではマイニング能力が高い51%以上のノードがコンセンサスを取ります。
これに対して、PoSはブロックの保有数が51%を超える必要があるため、51%攻撃を行うことが、PoWに比べると更に難しくなります。
Asicマイニングが優遇されづらい
マイニングを行うには、CPUマイニング、GPUマイニング、Asicマイニングがあります。
CPUマイニングとは、ビジネス用ノートパソコンにも搭載されている、パソコンの脳と言えるCPUを使用するものです。PoWのマイニングの場合、マイニングすることが現状不可能な立ち位置のマイニング方法です。
GPUマイニングとは、ゲーミングPC等に搭載されているGTX1080等のグラフィックボードパワーを利用してマイニングを行う方法です。PoWのマイニングの場合、マイニングできることもあります。
Asicマイニングとは、PoWのマイニング用に開発されたマイニング用機器です。マイニング以外の用途がなく、高価なため、PoWというルールのマイニングがなくなった場合使いみちがありません。
そうはいっても、AsicはPoW条件下ではもっともマイニングできる可能性が高いだけでなく、他のマイニングにくらべ消費電力も少ないです。
ただ、Asicが優遇されるPoWの場合、組織的なマイニングが優遇されることが結果的に51%攻撃にもつながりかねないという不安点が存在します。
これいにたいして保有コイン割合をコンセンサス基準にしているPoWでは、Asicを利用したマイニングが優遇されづらいという点が特徴になります。
PoSの仕組み
Proof of Stakeの基礎ルール
Proof of Stake(PoS)では、コインの保有割合が多い人に対して、PoWでマイニングした状態と同様に報酬を支払います。
Proof of Stake(PoS)には大きく3種類の報酬確定方式が存在します。
ただし、今後様々な方式を組み合わせることでPoSだけでなく、PoW・PoI・PoCの方式は増えてきます。
Proof of Stake(PoS)だけを利用する方式
アルトコインのNxt(ネクスト)がPoS単体方式を採用しています。
報酬は、コイン保有割合が高い人からランダムに決定されるため、マイニングを行うことがありません。
つまり、初期から参加しておけば、マイニング不要で、利子がつく確率も非常に高くなるということです。
このことは、一定期間を過ぎた時点でアルトコインへの興味を失いかねないというデメリットが存在します。
Coin Ageの優遇とProof of Stakeの組み合わせ
Coin Ageとは、コインを保有している年数です。
Coin Ageが長ければ長いほど優遇されたポイントを加算した状態で、コインの保有割合が高いノードに対して、マイニング不要で報酬が支払われます。
ただし、この方式を採用した場合、初期から参入しているコイン保有者がコインを売却しない方が特をするため、コインの流動性が非常に低くなります。
Coin Ageの冷遇とProof of Stakeの組み合わせ
Coin Ageが長ければ長いほどポイントを減算し、コイン保有者を冷遇した状態で、コインの保有割合が高いノードに対して、マイニング不要で報酬が支払われます。
単にコイン保有割合が高いノードであっても、保有コイン自体が古ければ、報酬を受け取ることができづらくなります。
このことは、コインの流動性を高めることに寄与します。
Reddcoinがこの方式を採用しています。
PoSの基本システムと、3つの報酬確定方式についてだね。
量だけじゃなくて、保有年数も関係してくる場合があるんですね。
最後にPoSを採用している通貨を挙げてみよう。
PoSを使っている通貨の種類、特徴
Nxt
アルトコインのNxt(ネクスト)がProof of Stake(PoS)を採用しています。
PoS単体方式のため保有しているだけで利子がつくような形で報酬を獲得することができます。
時価総額は20158年2月現在で280億円程度となっています。
ただし、最大供給量の99%以上のコインが供給済みです。
また、後継のアルトコインにArdorというコインが存在しますが、最大供給量の100%のコインが供給済みとなっています。
Reddcoin
ReddcoinはCoin Ageの冷遇とProof of Stakeの組み合わせ方式を採用しています。
Reddcoinが採用している方式を、PoSv(Proof of Stake Velocity)と呼びます。
Reddcoinは最大供給量を年間約数%づつ小出しにしていくという特徴を持っています。
ただし、2014年のリリース後、開発が思うように進んでいないという注意点も存在します。
Ethereum
Ethereumでは今後、PoSが導入される予定です。
現在のEthereumでは、Ethashと呼ばれるPoWアルゴリズムを使用しています。
今後、Casperと呼ばれるPoSアルゴリズムを採用する計画があります。
以上、PoS(Proof of Stake)について解説しました。
PoWとの違いなどマイニングの文化が違うので、知っておきましょう。
同じPoSでも、その形式によって仕様が少し異なってくるのが分かるね。
それまでPoWだったものが、PoSになるという可能性もあるわけですね。
PoSには51%攻撃のリスクが減るという点もある一方、場合によっては新規の参入が難しくなるという面もあるんだ。PoWの特徴についても復習しておこう。
そうですね、見直してみます。ありがとうございました!
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この記事を監修してくれた方
中本賢吾(なかもとけんご) 開発実績:PHPフレームワークを利用した会員制SNS・ネットショップ構築、AWSや専用サーバー下でLinuxを使用したセキュアな環境構築、人工知能を利用したシステム開発、店舗検索スマホアプリ開発など。 その他にも地域の職業プログラマー育成活動を行い、2018年には小学生がUnityで開発したオリジナルAndroidアプリをGooglePlayでリリース。ゲームで遊ぶより作ろうぜ!を合言葉に、小学生でも起業できる技術力を育成可能で有ることを証明し続けている。 |